わたしの興味のある事柄はいくつかありますが、その一つが「猿」です。高校生の時、大学進学のための進路を決めなければいけませんでしたが、わたしのチョイスは心理学、言語学、数学、そして「猿」でした。「サル学」で世界的にも有名なのは京都大学。そして霊長類研究は理科系の学問です。という訳であっけなく断念。でもその後も興味は引き続きあります。
「動物は仲間同士殺しあわない。同じ仲間を殺すのは人間だけ。」と言われていますが、わたしはそう言われると、機会ある毎に「ある種の動物は子を殺す。」と主張し続けてまいりました。猿はボス猿が統率するグループで行動しますが、若いオス猿が常にその地位を狙っています。ボス猿が年を取ったり、怪我をしたり、病気だったりして体が弱っている時に、若い猿との戦いに敗れた場合、その若い猿がボスの座に就きます。その場合往々にして、新しいボスは赤ちゃん猿や子ども猿を殺します。そのために母猿が我が子を守るために群れを離れることもあります。ライオン等にもこの子殺しの傾向は見られます。
そして、最近の新聞記事。
この「猿の子殺し」を最初に世界に発信したのは、1962年、京都大学の大学院生だったとのこと。この説が64年に国際シンポジュウムで世界に示された時、世界の反応はとても冷たかったようです。単なる異常行動と受けとめられ、議論の対象にもならなかったと。しかしその後、70年代にゴリラやチンパンジーなどの霊長類やその他ライオンにもこの行動が見つかると、この若き日本人の研究は世界に受入れられるようになりました(つまり、この頃がわたしの青春時代だったのね)。
わたしの理解では、この子殺しは若いボス猿が自分の遺伝子だけを残すために、前のボス猿の遺伝子を滅ぼすというものでしたが、いろいろな説があるようです。この若き研究者、杉山幸丸・現在京都大名誉教授の説は、新しいボスが交尾を望んでも子育て中のメスは発情しないので、子どもを殺して雌の発情を促すというもの。他に、欧米の研究者には遺伝子説を取る者もいるようです。つまり、子殺しをする雄は子殺しをしない雄よりより多くの子孫を残すことになるので、その結果として子殺しの遺伝子が広まったということ。
杉山氏は環境の変化もこの行動に影響しているのではないかと言及しています。同じ地域で子殺しが発生する時としない時があるということ。例えば、コンゴでは内戦でゴリラの生息地が侵されゴリラの数が半減した時に、子殺し行動が多く見られた。また、ルワンダでも森林が農地に変えられ、ゴリラが半減す状況があり、そして子殺しが見られた。内戦や森林伐採という環境の変化が「子殺し」の誘引になっている可能性が指摘されています。
他方、特定の雄と雌がペアをなすテナガザルや、雌が妊娠中や授乳中でも交尾できる「ボノボ」では、子殺しが見られないことが観察されています。このことから、ある研究者は人間の持つ社会構造は過去の「子殺し」の行動を回避するために形作られてきたとも考えられると述べています。
つまり、わたしの感想としては、人間の行動はたいていが(全部?)「人類のサバイヴ」のために方向付けられているんだな~~~ということ。最近読んだもうひとつの興味深い記事では、人類のメスは繁殖能力がなくなっても生きているというもの。他の動物はゴリラやチンパンジーなどのAPESも含めて、死ぬまで繁殖能力がある、つまり繁殖能力がなくなったら死ぬと。これはまた人類のサバイヴと関係していると。つまり、複雑な社会形態で生き残るための「知恵」を彼女たちは伝えていると。どんなもん???
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