サブタイトルは「英国人記者の抱腹レポート」。著者コリン・ジョイスさんは92年に来日し、英語教師、『ニューズウィーク日本版』の勤務を経て、英高級紙『デイリー・テレグラフ』の記者になる、…と書かれていました。今は、フリージャーナリストで、どうもニューヨークに住んでいるらしいです。ニッポン社会ならぬ、ニューヨーク社会についての本も出したようです。
日本に二十年弱住んで、すっかり日本(東京)に溶け込んだイギリス人の日本観・日本人観です。「まだまだ、わかっちゃいないな!」と思う所も少しありますが、興味満載です。先ず、この本のキャッチコピーにもなっている「日本社会について手っ取り早く学びたければプールに行くことだ!」というのが、第一章です。わたしもこのコピーに釣られたくちですね。常々、日本人ってどうしてこうルールを守るんだろうねと思っていたからです(もちろん、私も含めて)。ルールって言われれば、なんの疑問もなく守っちゃうよね・・・、と。
彼によると、「プールに日本社会を見た」ということで、日本で百人うまく利用できるプールがあれば、イギリスでは同じ大きさのプールで六十人入れば泳げなくなるだろう。八十人を超えれば、暴動が起るだろうという事。
わたしたち日本人は、プールでほんとにいろいろなルールを守っていますね。休憩時間だとか、走ってはいけないとか、履物を履いてプールに近づいてはいけないとか、Tシャツを着てプールに入ってはいけないとか。タイのホテルのプールで泳いだ時、ほんとはTシャツで泳ぎたかったけど、「日本なら、ピッピッと笛吹かれものだな。監視員はいないわけだから、いいかも。」と思いつつ、結局ルールは守りました。そしたら、西洋人らしき女性が、プールでサンダルを洗ったので・・・、「そうだよね。そうなんだよね~~~。」と思ってしまいました。もちろん、わたしはいたしませんけどね。
こんな風に、日本での「当然」が、「特殊」だということが、興味深く指摘されています。
『日本人になりそうだ』という章では、英語で頼みごとをする時でさえ、ついつい「お忙しところをすいませんが、・・・I know you are busy, but…」と言ってしまうと。また、店員から、「申し訳ありませんが」に相当するフレーズなしにいきなり「売り切れです」と言われると、ムッとしてしまうとも言っています。イギリス人の英会話の先生が、「日本ではお客さんが王様だから、本国に帰って店員がいいかげんだと、頭にくる。」と言っていたのを思い出しました。
もうひとつ、日本人は人の面前を「すいません」といったジェスチャーなしに通り過ぎることができないことも指摘されています。わたしも、ここは日本ではないのだからと思っても、ついつい、「どおもどおも・・・」といったようなしぐさをして、お辞儀をして人の前を通ってしまいます。海外の学校の狭い廊下などで立ち話をしている人の前を通る時、こんなことをして「ヘンな奴だ」と思われているんだろうな~~~と、思いつつも、してしまうんですよ。でも、決してマイナスポイントではないですよね。誰にも迷惑をかけていないし、礼儀を押し通しているだけなのだから。
こんなことも書いてありました。日本に住んでいる同じ英国人の友達は、玄関で靴を脱いでいるという事。彼の親や姉も、日本に来た事はないのに玄関で靴を脱ぐほうが良いと思っているそうです。日本人の清潔好きも「世界的に認知されれば幸い」と思います。
日本に対する良いところばかりでなく辛口の所もありますが、ケラケラと笑いながら、あっという間に読んでしまいました。笑いたい人、微笑みたい人・・・に推薦いたします。
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