次回の英語READINGクラスの小説です。キャサリン・マンスフィールドは、1888年ニュージーランド生まれ。1909年にロンドンに渡っています。ロンドンで結婚し、1923年に没するまで70篇以上のショートストーリーを著しています。つまり典型的な古典小説です。
わたしは、このような小説は「サロン小説」と呼ばれていると思いますが、「サロン小説」という言葉は今は使われていないのでしょうか。古典小説の一つのパターンである、金持ちの家に客がディナーに招待され、その場での小さいサークルでのあれこれが描かれているという態です。
例の如く、金持ちの夫婦、ステキな招待客、そして召使たち。金持ち夫婦は、いろいろなパターンがあります。前回の小説、チェーホフのAn Upheavalは、中年夫婦の人を見下すような人物でした。その家庭に紛れ込んだ若い家庭教師の不運が描かれていました。今回の夫婦はとても若い非の打ち所が無いような美人、ハンサムの夫婦でした。そして、招待客もそれぞれ個性的な人物達です。
しかし、そんな「ステキな」人物たちも、現代社会から見れば差別主義者の俗物たちです。DATEDということでしょうか。古典小説は、風雪に耐えて今にも通じる何かを残しているはずですが、この小説はB級ということでしょうかね。通俗恋愛小説と見れば良いのかも。
今回の主人公は、Bertha Youngです。30歳。彼女は30歳ですが、ちょっとしたことにも心が躍る、若い感性を持った人物として描かれています。アリガチですね。
Although Bertha Young was thirty she still
had moments like this when she wanted to run instead of walk, to take dancing
steps on and off the pavement, to bowl a hoop, to throw something up in the air
and catch it again, or to stand still and laugh at ---nothing---at nothing,
simply.
彼女が散歩から帰ると、注文した果物が届いていました。召使のMaryに言って持ってこさせると、ダイニングルームにそれを飾りつけます。彼女は、部屋のパープルのカーペットと合わせて果物の種類を選びました。
These last (a big cluster of purple ones)
she had bought to tone in with the new dining-room carpet. Yes, that did sound rather far-fetched and
absurd, but it was really why she had bought them. She had thought in the shop: “I must have
some purple ones to bring the carpet up to the table.”
その飾り付けを終えると、彼女は2階に上がります。そこには彼女の可愛い娘とそのナニーがいました。彼女は、その子がとても好きらしいのですが、ナニーは我が物顔でその子の世話をしています。つまり、自分の子でありながら、好きなように接しられないのです。これもアリガチですね。金持ちとしての「教育」が必要なのでしょう。
Thank Heaven! Nanny went out of the room with the bath
towels.
“Now I’ve got you to myself, my little
precious,” said Bertha, as the baby leaned against her.
そして彼女は、自分で娘の食事の世話をできたというわけです。
Harryが彼女のハンサムな夫です。彼女は彼のことを無上に愛しています。彼の顔を見るだけで至上の幸せを感じることができます。彼はディナーにちょっと遅れるとのこと。彼から電話がありました。そして、招待客が表れ始めます。まっこと、スノッビーな奴らです。
They had people coming to dinner. The Norman Knights---a very sound couple—he
was about to start a theatre, and she was awfully keen on interior decoration,
a young man, Eddie Warren, who had just published a little book of poems and
whom everybody was asking to dine, and a “find” of Bertha’s called Pearl
Fulton. What Miss Fulton did, Bertha
didn’t know. They had met at the club
and Bertha had fallen in love with her, as she always did fall in love with
beautiful women who had something strange about them.
バーサは、フルトンという人物にゾッコンのようですが、彼女の夫のハリーは、彼女の悪口ばかり言います。バーサはそのことに異論を唱えています――が、真実はエンドにわかります。
招待客の容姿や服装などの描写が続きます。彼らは奇抜な装いで現われました。例えば、
She kissed Mrs. Norman Knight, who was
taking off the most amusing orange coat with a procession of black monkeys
round the hem and up the fronts.
そして、口々にミドル階級の人々やタクシードライバーの悪口を言いながら、ディナールームの席に着きます。バーサは彼等がなんと洗練された趣味を持ち、洗練された仕事を持っているのだろうと感嘆し、そんな友達を持った自分はなんと幸せなのだろうかと思います。
そして彼等が去る時間が来ます。彼女は、客が一人一人とこの家を去って、家に残るのは彼女と夫だけだと感じます。そして二人だけの時間が訪れることに興奮をおぼえます。こんなに彼のことを求めたことはないと。わたしは、彼のことをこんなに愛している。しかし、彼がわたしと同じくらいわたしのことを愛していないことは知っている。でも、二人は仲の良いカップルだ。それで満足だと思う。
First time in her life Bertha Young desired
her husband. Oh, she loved him---she’d been in love with him, of course, in
every other way, but just not in that way.
And, equally, of course, she’d understood that he was different. They’d discussed it so often. It had worried her dreadfully at first to
find that she was so cold, but after a time it had not seemed to matter. They were so frank with each other---such
good pals. That was the best of being
modern.
そしてラストです。バーサは、Eddieの要求に応え、ちょっと夫とMiss Fultonから見えない場所に行きました。しかし、振り返ると……。原文だけ記載しておきましょう。
While he (Eddie) looked it up she turned
her head towards the hall. And she saw……Harry
with Miss Fulton’s coat in his arms and Miss Fulton with her back turned to him
and her head bent. He tossed the coat away,
put his hands on her shoulders and turned her violently to him. His lips said: “I adore you,” and Miss Fulton
laid her moonbeam fingers on his cheeks and smiled her sleepy smile. Harry’s nostrils quivered; his lips curled
back in a hideous grin while he whispered: “ To-morrow,” and with her eyelids
Miss Fulton said: “Yes”
バーサの至上の喜びもこの結論の為の伏線だったのでしょうか。彼女は、この真実を知った後も、わたしにはこの素晴らしい、美しい庭にあるPEAR TREEがあると言い聞かせるのです。
お終い。
にほんブログ村
0 件のコメント:
コメントを投稿