「日本人のユーモア」なんて大層な演目になってしまいましたが、とうていそんな大きなテーマを語る能力は私にはありません。が、卑近なところから探ってみました。イグノーベル賞です。1991年に賞が設立されてから、ほぼ毎年のように日本人の受賞者が出ています。
何故このテーマに関心があるかと言いますと、日本人は世界の人々から「真面目だ」とか「ユーモアのセンスがない」とか思われています。その思い込みに反論したいからです(たいていの英会話の先生は、日本人はユーモアがわからないと思っています)。
思うに、日本人は世界でも有数なユーモアのセンスの持ち主であり、バカバカしいことが大好きな国民性です。それで、最近読んだ、イグノーベル賞の創設者のインタヴュー記事から、そのことを実証します(大袈裟…)。
マーク・エイブラハムズさんがその人です。彼はハーバード大学を卒業し、今は、『Annals
of Improbable Research(ありえない研究)』という雑誌の編集長。1990年にこの雑誌の編集者となった時、彼は、世の中にこんなにも興味深い研究があったのかと驚きました。そして、その研究が日の目を見ていないことを残念に思い、スポットライトをあてて、皆に知ってもらいたいと考えたそうです。それで、1991年から、この雑誌がイグノーベル賞を企画する事となったのです。
彼のインタヴューに対する返答の抜粋です。
今年で日本人の受賞者は7年連続である。継続的に受賞者を出しているのは、英国と日本。この二つの国には奇人・変人を誇りにする風潮がある。この賞の成功は、この二国に負うところが多い。
1960~70年代、日本の電化製品や車が欧米の市場に入ってきた。当初、彼等はその製品をなんか変だと思った。でも、仕方がない、日本製だものと。それが、人気が出始めると、「どうすれば、日本人のアイデアのようなものが生まれるのか」という思いに変わって行った。日本や英国で放送されている一見馬鹿げたテレビ番組も数年後には世界中に広がる(「サスケ」や「風雲タケシ城」、または、イギリスの有名なプロモーション番組「Britain’s God talent」も日本のテレビ番組「スター誕生」から来ているという話も…)。
「現在、世界では、より実用的でより利益につながるような研究が求められています。科学者が純粋に自分の好奇心からのみ研究を続けることは難しくなっているのでは。」というインタヴュアーの質問に、彼は次のように答えています。
あらゆる物事には、正と負の側面がある。その価値は時代とともに変わっていく。「バカバカしい」と思うことが、後世になって素晴らしい発見だったということは幾らでもある。『ありえない研究』というのは、何が起きるか予期できない研究である。数か月先には何が実用的かわかっても、数年先になると難しい(日本の町工場が、なんの役に立つのかわからないのに、世界一小さいネジを製作しようと努力する。そして、それは、後に胃カメラなどの医療器具などに利用されるのだ)。しかし、面白さや驚き、バカバカしさは、あくまで副次的な事であり、最初からそうような効果を狙って研究は、受賞の対象とはならない。
こんな感じですが、どう思われますか。ホントのところ、わたしのメイン・テーマは、最初に触れましたように、「なぜ英会話の先生は、日本人にはユーモアのセンスがないと切り捨てるのか」ということ。ほとんどの先生達は日本語を理解できません。それでも、日本の漫才師が「ど突き合う」ところだけを見て、stupidと言います。「なんでやねん。なんもわかっとらんやナイけ」と言いたい訳です。
実は今回もこの内容のトピックを英語教室に持っていったところ、先生(イギリス人)は、日本人にユーモアのセンスはないと言いました。あとで、「ユーモアの質が違うということだけど」と言いなおしましたが。それで、昔懐かしい『差別の構造』という言葉を思い出してしまいました。今、西欧の文化が世界のマジョリティです。それで、それ以外の文化を排除しようとする力が働きます。もちろん、植民地時代の話ですが。しかし、その後も、構造主義のように、他の文化を認め理解するというメッキリ「上から目線」の理論に引き継がれます。それではいけない、差別される側の人の立場に立ちその人たちの言を代弁するのではなく、「彼等自身が、語る言葉」に耳を傾けようではないか…、という「脱構築」の観点が必要です。
韓国人たちに対する「ヘイトスピーチ」に関する記事を読みました。それに依りますと、「朝鮮人は出ていけー」などと叫ぶ人たちが、なぜ呑気にそんなことを叫べるかと言うと、彼等は自分の側に権力の後ろ盾があると感じているからだそうです。人は知らず知らずのうちに、己を権力の側にすり寄せ、マイノリティの側を脅すようになる。
もうひとつ、今読んでいる『ゾミア』(まだ、読み終わっていないんですう。)で学んだこと。
「ドミネントが文明となりその他は野蛮となる」
[人類の夜明け]は遠いわあ・・・と感じるわあ~~~。
にほんブログ村
0 件のコメント:
コメントを投稿