英語クラスで読書会を月一回開いている事は、たびたび書いているので「耳タコ」でしょうが、今回も話の導入として書いてしまいました。そして、今月はわたしの当番で、読む本を選ばなければいけません。10ページ程のショートストリーです。3人のクラスですが、他の二人は、世界の古典のからいつも選んで来ます。しかし、先生が若いイギリス人なので、「いつもなんで宗教がからんでいるんだ。」との感想。1800年代あるいは1900年代初期の話となると、それはしかたのないことですよね。それから、この頃の若い人は古典小説を読んでいないというのは世界共通なのでしょうか。と言っておいて、私も古典小説はあまり読んでおりません。が、教養としてどんな話かは知っています。あるいは作家の名前程度は。
英語の勉強のためにだけに買った原語(英語)で書かれた本は、本棚三段分くらいあります。しかし、すべてわたしの趣味的な本で、推理小説やサイコやSFや怪奇小説(ゴシック)その他サスペンスものばかり。つまり、他のお二人の趣味には合いそうにないものばかりです。それで今回自分の本棚から見つけたものは、『FLYING LEAP』です。この本を読んだ時は、なんだかおもしろくなくて2~3篇読んだだけでほってありました。いつからホッタラカシニしているのかをアマゾンの履歴で調べたところ、2008年に購入した模様です。
なぜこの本を買ったのか。
表紙(表紙ですよ!)にはこのように書かれています。
“I don’t know what planet Budnitz comes
from, but I’m happy to have her. Flying Leap is a tremendous
debut---funny, dark, weird, adventurous, slanted and enchanted.”
------Newsweek
著者はJudy Budnitzです。若い女性でこの本でデビューしました。紹介文は以下のよう。
The twenty-three stories in this debut
collection provide short, sharp shocks---jolts of recognition, surprise, or
delight. In her tales of ordinary people
in extraordinary situations, Judy Budnitz plays with the boundaries of time and
reality, from the young man persuaded to donate his heart to his dying mother,
to the girl in post-apocalyptic suburbia whose only friend is a man in a dog
suit, to a short history of women contained within the pages of a fall fashion
catalog. Laced with wit and imagination,
these stories announce the arrival of a uniquely talented new voice in fiction,
a young writer leaping boldly into the next generation of American writers.
いかがですか。なんだかわたしの読書趣味にピッタリって感じでしょう。しかし、いざ読んでみると、なんだか中途半端な感じが……。古典小説はわたしの趣味ではありません。が、読めば感動は得られます。文章の良さとかいつの時代でも共通の人間の性とか。しかしこの本には共感が得られない。そして、ファンタジー性も純文学の方向に行こうとしたのか迫って来ません。これが、わたしがまだこの本を全部は読んでいない理由です。でも、英語としてはわかり易いし、「古典小説ではない」、「宗教性がない」ということで先生の要望には答えられそうに思います。
この23篇のお話から私が選んだものは、『COMPOSER』です。8ページの小編で、単にクラスのリクエストに答えられからという理由から。
作曲家の話です。若くして優秀で有名で聡明でウィットもありいの女性にもてもてのイケメン。しかし、お話の1行目は、
You see in the paper how the composer died
today.
彼は亡くなっちゃったんですね。彼は母親と二人で暮らしていました。幼い時は父もいました。しかし、父は若くして亡くなって、その時、彼の母は嘆き悲しんで部屋に閉じ籠もってしまったんです。それまでの母はとてもやさしく、父と共に幸せな日々を送っていました。彼は、父がピアノを弾いて母を慰めていたのを思い出しました。その父のピアノは決して上手くはありませんでしたが、母の心を捉えていたのです。
When the composer was still very small, his
father fell ill. He lay in bed slowly
dying, the sickness working its way through his body. The house fell silent. The curtains were drawn. After he died, his wife went to her room and
would not come out for weeks.
彼は、母親を非常に愛していました。それで、彼は母の気持ちを引き付けるために、ピアノを弾いてみました。すると、母のベッドルームから足音が聞こえてきました。そして、ピアノの前に坐っていた彼を、背後から、以前のようにやさしく抱きしめたのでした。
彼女は、彼を有名な音楽学校に入学させ、こうして彼はコンポーザーになったのでした。つまり、彼の母親の気を引くためだけに…です。
Whatever the reason, she sent him to the
best schools, found him the best instructors.
He read about Mozart and began composing when he was fourteen. She was proud of him, sometimes fascinated by
him. But as she grew older she touched
him less and less, paid attention to her own affairs. The composer continued to write, always
struggling to recapture the days of sunlight and mother’s laughter.
彼女は彼の手を離れて行ってしまいます。他の男性と遊び歩いたり…。そして、どういう訳か彼女は、太ったり痩せたりを繰り返します。彼は、太った時の母が好きでした。なぜなら、その時期は彼女は家に閉じ籠もって、彼を一人にして出歩くことがなくなるからです。そんな繰り返しが彼女の身体を蝕んだのか、彼女も亡くなってしまいます。その後の彼は、父が亡くなった時の母親と同じように誰とも会わず家に閉じ籠もります。誰も彼に会うことができません。どんなものも彼の興味を引くことができません。
そして、このお話の第一行目に書かれていたように、彼は死を迎えるのです。どうして死んだか知りたいですか。書いても良いんでしょうかね。まあ、こんなところです。
He was angry at her for leaving him. As if she had run off with the milkman.
He said the music would not cease. It sloshed and crashed in his head. He refused to open the floodgates to let it
out. A flock of violins, like
seagulls. Kettle drums thunder-rumbling. His heart beat a rhythm like dance
music. Music! For dancing! His own
traitorous heart!
He directed his anger against it, as if his
heart were the enemy. He cried out that
if he had the means, he would stop it.
He said he could not stand to go on any longer. He did not care about anything but her.
結局、彼の母は彼の父親しか愛していなかった。そして、彼は彼の母親しか愛せなかった…ということでしょう。
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