2015年1月12日月曜日

HAL


ロボットスーツ・ハルの話です。HALは『2001年宇宙の旅』のHALではありませんよ。こちらのHALIBMの先を行く、つまり、Iの前のHBの前のAMの前のLという意味でしたが、ロボットスーツは、Hybrid Assistive Limbの意味です。多分、映画のHALを意識しているとは思いますけど。

 

わたしがはじめてHALを知ったのは、2004年でした。筑波大学教授の山海氏が開発しました。それから10余年、HALも段々進歩していると思いますが、その頃の説明では、脚や腕にスーツのようなものをつけ、それが筋肉を動かす時に発生する生体電位を感知して、筋肉の動きをアシストするというものでした。また、疾患のために生体電位が出ない人のためには、ある程度のまとまった動きをあらかじめプログラムしておき、人の動きを再生するという方法もありました。

 

わたしは、趣味でロボットの開発を追っているので、逐次新しい変化があった時の新聞記事などで、HALのことはフォローしていました。そして、英語クラスのトピックスでも、2~3回取り上げましたが、先生や生徒の皆さまは無反応。HALの存在自体も御存知なかったのです。

 

何故なの~~~!

 

世界に誇る日本の技術ではありませんか。日本人の無関心さには恐れ入ります。と同時に、日本政府の取組のスローなことにも…怒りさえ感じます。日本の技術が政府の認証が得られないばかりに、欧米の人が先にその果実を享受しているという意味です。新薬なども然り。人工皮膚もそうだったなあ。

 
 
 

2013年、2月27日には、「ロボットスーツHAL福祉用」が、世界で初めて生活用ロボット国際安全企画(ISO/DIS13482)の認証を受けました。同年6月にはその欧州モデルが欧州の医療機器として認証され、ドイツではHALによる治療が公的労災保険の対象となっているとのこと。日本国内では、医療・福祉施設で400体ほど使われているそうですが(2003年現在)、医療機器としての申請はまだのようです。

 

 

2014年12月の新聞記事によりますと、

 

「着るロボットとして知られるロボットスーツHALを使い、脊髄損傷などで歩行が困難な人の機能を改善する治療を東京大医学部付属病院が計画している。」

 

そうです。

 

ようやく政府も動き出しましたか。地域限定で規制を緩める「国家戦略特区」の制度を使うということ。2015年の夏までには実施したいと言っておりますよ。

 

「東京圏の特区では、欧米などで承認済みの医薬品や医療機器の手続きの迅速化を掲げており、この制度を使って早期の医療応用を目指すことにした。この場合、HALを使う治療と保険診療の併用が認められる見通しだ。今年度内をめどに正式な医療機器としての国への申請手続きも予定されている。」

 

と言うことです。

 

山海教授によりますと、事故や病気で歩行が困難になった人がHALを装着して訓練を繰り返すと、脳から手足の筋肉へ至る神経のルートが強化・再構築され、運動機能の改善が促されるということです。

 

 

その他医療用以外の用途では、テレビ番組で見たのですが、重い荷物を運ばなければいけない物流や建設、農業の分野で活躍できそうです。昨今の高齢化、そして人手不足に伴いそのような分野で働く人には、多大な荷重がかかっています。人が装着して仕事をするので、この場合のHALはよりコンパクトにそして軽量化が求められます。HAL自体の重さが仕事の妨げにならないように…です。今年から、このタイプのものは量産される予定で、一台月5万円程で企業に貸し出される模様。筑波大発のベンチャー企業ももっと簡便化されたHALを大手ゼネコンに貸し出す予定です。貸出料は月10万円代前半とか。人件費を考えればお安いかも。

 

もうひとつこれもテレビ番組で見たのですが、おんぶ用HALです。健常者がHALを着用し、重度障害のある人をおんぶしていっしょに旅を楽しみます。番組では実際に交通事故で頸椎を損傷した人をおぶってアルプス・ブライトホルンを登頂した模様を放送していました。こちらも装置の軽量化とバッテリーの長寿命化が進められています。山海教授は、「登山に限らず、車いすの人が入りにくい世界遺産の遺跡などでも、おんぶ型HALは役立つ。将来は、製品として実用化させたい。」と語っています。







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