2014年2月24日月曜日

ネアンデルタール人とヒトの関係


2010年に『ネアンデルタール人、ヒトと交雑の可能性』という新聞記事を読みました。ドイツにある国際研究チームがネアンデルタール人のゲノム配列を解析し、ヒトとネアンデルタール人の交雑を突きとめたのです。現時点でネアンデルタール人のゲノムの約6割が解明されています。この記事によりますと、アフリカ以外のヒトのゲノムの1~4%がネアンデルタール人由来と言います。ヒトは約10万年前にアフリカから旅立ち、ヨーロッパ、ユーラシアに到達しました。その時、先にアフリカを離れ、ヨーロッパに定住していたネアンデルタール人に遭遇したのです。ですから、アフリカに留まっていたアフリカ人にはネアンデルタール人のゲノムは見つからない訳です。

 

ヒトとネアンデルタール人は共通の祖先を持っており、約50万年前に枝分かれしました。両者は分岐してから数10万年しかたっていないので生物学的に交雑が可能と言うことです。この時点では、研究者は「交雑したと確定するには、より古い時期のネアンデルタール人のゲノムを調べるなどもう一段階上の調査が必要だ。」としていました。

 

 

そしてつい最近、再び同種の研究成果が発表されました。わたしは、以前に読んだものの焼き直しなので、たいした興味はなかったのです。が、最近はじめた英会話の先生にこの話をしたところ、彼、全然信じないのです。「人とネアンデルタール人だって。STUPID!」ってことです。彼等お得意の「STUPID!」が出ましたよ。彼はカナダ人です。それで、NATUREに発表された研究に関する英語の記事を見つけ出しました。彼等は、英語の記事じゃないと信用しませんからね。

 

 

Modern human genomes reveal our inner Neanderthal』という記事です。この記事では、ふたつの研究グループの成果を取り上げています。この二つのグループの共通認識は、「ネアンデルタール人は絶滅している。だから、ヒトがネアンデルタール人のゲノムを持っているということは、ネアンデルタール人が現存していた時に交雑したということであり、最近の話ではない。」ということ。確かにね!!!

 

David Reich率いるグループは、この交雑によりヒトが得たネアンデルタール人のDNAは、病原菌との戦いに有効に働いているということと、紫外線に対する耐性を人類に与えたということです。彼等はヨーロッパの北の方に生存していたので、そのような特徴を獲得したのでしょう。Joshua Akey率いるグループは、現人類に役立っているネアンデルタール人のDNAはケラチンの中にあり、皮膚や毛髪に関係していると言っています。やはり、寒さや病原菌に対する耐性ですね。

 

両グループとも言語を司る遺伝子などにはネアンデルタール人のDNAは見られず、知能の面には貢献していません。もうひとつ、それではなぜ二種族のハイブリッドは現存していないのか。ヒトとネアンデルタール人は交雑するのは可能であったが、そのギリギリの線だったのか、ハイブリッドは不妊体質だったということです。つまり、二世はできなかった。彼等の遺伝子は残せなかったということ。あるいは、何か人類にとって有害なものがあったので、十数世代のあいだに自然淘汰されたのか。

 

興味深いことは、古代のゲノムが化石の骨から見つかるのではなく、今、現に生きている現代人の体から発見できるということです。また、他の科学者はアフリカの人々はネアンデルタール人とは雑婚していないが、他の絶滅した種族との交雑の証拠のDNAを発見できるかもしれないと、超人種差別的に聞こえる発言をしております。

 

 

 

この記事の結果にしても、英会話の先生は信じませんでした。「まだ、確定はしていない。引き続きの調査が必要だ。」とのこと。考えてみれば、そうかもしれませんね。こんな真実をキリスト教徒が信じる訳ないもの。というか、信じたら自分のアイデンティティがなくなっちゃうんじゃないの。その点、仏教徒はいいですね。仏教は、ヒトを特別な存在と規定してはいませんからね。「万物皆兄妹」ということで、めでたし。




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