2014年6月12日木曜日

ちょっと思い出しました。


前回、日本語に対する英語翻訳について難癖をつけましたが、日本の翻訳本については難癖を付けるつもりはありません。もちろん学術書などで理解できないのがあるのは、翻訳が悪いこともあるという事を聞いたことはありますが。

 

その難癖の文章を書いていて思い出したことがあります。一般的に、日本人は完璧主義でトコトン細かいところまでこだわると思っています。以前、『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』をUPしたことがあります。アメリカ人の作家の小説ですが、オリジナルはドミニカ共和国でスペイン語が母国語の人です。この本も、英語とスペイン語の半々くらいで書かれているとか。作家本人は、「アメリカ人が全員英語を話せるとは限らないし、半数ほどはスペイン語が母国語の人々が住んでいるのだから、こんな本が出版されるのも道理だろう」と言っています。

 

この本の日本語の翻訳家も2カ国語なので相当苦労したようです。しかし、彼は、英語もスペイン語も、その他「オタク用語」にも熱心に取り組み、「この翻訳が世界で一番優れた(フランス語版とかドイツ語版とか)、間違いの最も少ないものと自負している。」と訳者あとがきで述べています。つまり日本の翻訳家は、「翻訳文化」と言われているように(揶揄されているのか)、それだけで成り立つような独特な世界を作り上げていますねえ。

 


 

わたしが思い出したことは、上海に暮らしていた時のことと、イギリスのマーゲートの英語学校に3週間通っていた時のことです。上海には2003年から2005年まで約2年間仕事の関係で住んでいました。その時の苦労は並大抵ではありませんでした。その一つは、通訳者。上海では通訳者は電話一本で出前のように雇えます。しかし、その技量は???です。日本人は、いくら英語をペラペラしゃべれても、英語は話せますかと聞かれれば、「まあまあです。」と答えるでしょう。が、他の国の人々はたいてい、「こんにちは」と言えるくらいで、「日本語を話せます。」と言いますよ。その時の通訳士もそんな感じで、わたしの中国人の友達より日本語が下手でした。

 

その時は凄いトラブルに巻き込まれていたので、わたしのトラブル相手がその通訳を雇ったのです。わたしは、わたしの友達を連れていきました。その友達が、通訳とわたしの間を取り持つような体たらく。あとで友達と「あれでよくお金取るネ」と言い合いました。

 

 

イギリスのマーゲートには2002年に行きました。日本人で英語を学びたい人は、「英語がオリジナルでない国に行った方が良い」と言いたいです。つまり、ケープタウンとかマルタとか母国語が他にある国です。英語がオリジナルな国にアジア人が行くと、たいていは実力より下のクラスに入れられてしまいます。考えてみれば、アメリカ人と中国人が目の前にいて、どちらが日本語をうまく話せるかと推測するなら、中国人を選んでしまいそうでしょ。顔のせいです。そんな感じで、イタリア人やポーランド人などと並べられたら、彼らの方が英語を話せると判断されてしまう訳です。

 

その伝で、わたしは初級クラスに入れられてしまいました。その前年は、マルタの英語学校に行っていて、アッパー・インターメディエットクラスだったんですが。もちろん抗議すればクラスは変えてもらえたでしょうが、その時前述の中国人の友達と同じクラスだったんです。その時は友達ではありませんでしたが。それで「まっ、いいか」って。英語の学習よりその場の楽しみを選びました。

 

そんな初級者クラスのわたしに、学校のオーナーが、日本語に訳されたものと英語のオリジナルの文章を渡して、ちょっとあっているかどうかチェックしてくれというのです。その学校に日本人はわたし一人でした。3~4枚ありましたが、わたしも嫌いではないので、チェックしてあげました。数か所の間違いを指摘してオーナーに渡したところ、彼は、「日本人の生徒の獲得のために日本語でパンフレットを作ろうとしているのだけれど、この文章は日本語として正しいか。」って聞くんです。

 

「日本語としては正しいですが、プロの文章ではありませんねえ。素人が書いた物のようです。」

 

と言うと、彼は、エージェントに翻訳をたのんだのだが、ほんとにそうか。そう思うかと。それで終いにこう言いました。

 

「君は彼と会う必要がある。」

 

なんでやねん。タダで校正して、なんでそのエージェントの人にまで会わないかんのや。なに考えとんのじゃあ。それも、わたしは初級クラスの生徒なんやからね。

 

 

ということです。つまり、他の言語を正しく美しく訳そうなんてことを考える人はそうはいないと言うことです。

 

 






にほんブログ村 英語ブログ 英語学習者へ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿