地球に生命が誕生してからの40億年の歴史であるが安直な通史ではなく、生命の激変と絶滅のダイナミックな考察である。
この本は題名の如く、生命が初めて地球に誕生してから人類に至るまでの壮大な歴史物語である。わたしは基本的には、いつの時代にどんな生物が生存していたかとか、どのように絶滅したかという歴史については興味はない。
興味があるのは、無機物しか存在していなかった地球から如何にしてはじめての生命が生まれることができたのか、そしてそれがどうして動き出すことができたのかなどである。そのような類の本を読んだこともあるが、この本は前半で時系列的にこの問題を説明しているので頭の中がスッキリしたように感じる。
それから現在に生きる人類の業のようなものがどのように生物の発達と関連あるのかがところどころに散りばめられていて、時々哲学的な夢想に引き込まれた。
例えば、「動物は自分の食い扶持を他人に頼る居候のようなもの。植物は独力で成長と増殖のための栄養分を作り出している。」とか「共生による太古の平和を粗野なやり方でかき乱す真の動物、性的な衝動や攻撃的な性質に満ち満ちた捕食者あるいは搾取者」という動物の定義である。
もうひとつ、「捕食者が現れ、またその捕食者の捕食者が現れ、捕食者・被捕食者の関係が生物の新たな進化を推し進めていく」と、あった。
捕食者の頂点に位置する人類の運命に、う~~~ん、と唸ってしまった。