年末だというのに、今年おわりのお片づけもせず、新たに本を読み始めました。と言っても、以前に買った本で少し読んで、そのままになっていたものです。『137―― JUNG, PAULI, AND THE PURSUIT OF A SCIENTIFIC OBSESSION』、ARTHUR I.MILLER著です。邦題は『137 物理学者パウリの錬金術・数秘術・ユング心理学をめぐる生涯』。いつ買ったのか覚えていないので、奥付を見たところ、2009年にハードカバーが出版され、2010年にペーパーバックが出版となっていました。ですから、2010年頃に買ったのでしょう。英語版です。その頃は、ただ英語を勉強する為に「英語の本」を買っていたのです。しかし、勉強とは言え、興味がないものは読めないので「とりあえず興味ありそうなものを買ってみた」と言うところです。
ところが読んでみたもうたいへん。まだ、イントロダクションだけなんですけど・・・、ワクワクします。前回は2、30ページほど読んでいました。が、内容はまるっきり覚えていません。もちろん、どんな種類の本かは解説書などでわかっていますが・・・。この2~3年でわたしも成長したのでしょうか、内容がすんなり入って来ました。
パウリは、量子論で「パウリの法則」を導き出し、名を残した物理学者。ニュートリノの存在を予言し、その後ニュートリノが実験室で確認されるという偉業も成し遂げました。ノーベル賞受賞者です。ユングは言わずと知れた有名な心理学者。しかし、無意識レベルの心理を操る少々科学者らしからぬ所があります。そこで、何故、この二人の交友が始まったのかと言う疑問が湧きあがります。著者は、膨大なふたり間の書簡からこの謎を解き明かそうとします。なんと、ミステリアスなことでしょう!
パウリが31歳の時、彼はユングに初めて会ったようです。その時、ユングはもう名声を築き上げていました。26歳パウリより年上でした。その頃、パウリは量子論では解き明かせない「人類普遍の何か」に囚われていました。それが、「137」という数字です。ユングもまた、同様の疑問を抱いていました。その二人が出会うことによって、「化学反応」が起きたということですネ。ふたりの間で、何かの理論が形を取り始めたのです。
著者はこのように表現しています。
Nevertheless, his sessions with Jung
convinced him that intuition rather than logical thought held the key to understanding
the world around us.
---the means to break through and to
develop new insights was to take a radically different approach and return to
science’s alchemical roots.
しかし、パウリはこのような科学者らしくない考えを彼の研究者仲間に知られることを恐れました。ユングは偶然にもパウリの家の近くに住んでいたのです。彼等の関係は、先ずは患者と医者というところから始まります。それから、友達に、そして同じ思想を持つ者同志として、お互いの研究に相乗効果を生みだして行くのです。
また、本からの引用ですが、
Pauli realized that quantum
mechanics---despite its grandeur, and in the fact of his distinguished
colleagues---lacked the power to explain biological and mental processes, such
as consciousness. It was not a complete
theory.
この本は、まさにわたしが思っていた「今の科学では解きえない何か」の存在を示唆するものと思いました。と言って、非科学的なことではありませんよ。科学が科学であるために、今までに置き忘れてきた何かを、もう一度科学によって取り戻すということです。今の科学には、まだ「何か」が不足しているということ。
以前にも書きましたが、「超弦理論」やなにやかやで、宇宙の謎が解き明かされ、この世界がどうしてこのように存在しているのかがわかった時、今「超常現象」として不思議とされていることの謎も解き明かされるのではないかと、密かに期待しているのであります。
「講談師、見てきたような嘘を言い」・・・、ですね。まだ、イントロダクションしか読んでいないんですから。また、読み終わったら、あるいは、途中経過を報告いたします。
チャオ!そして、良いお年を!
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