元CIA職員のスノーデンによるリーク事件は2013年5月に始まったらしいですが、わたしはその時にはあまり関心はありませんでした。よくあるスパイ・ストーリーだろうと思って。その後、ロシアに亡命だ、なんだかんだの報道もありました。安部首相も「アメリカが同盟国である日本を盗聴していないことは信じている」と宣言しました。しかし、事態は、どんどん悪い方向に進んで行くように思われます。それで、日本のことが話題になり始めてから、新聞記事のスクラップを始めました。
朝日新聞の11月5日の記事では、「米、日本・ブラジルも監視」とあります。
「米国家安全保障局(NSA)は、アメリカが経済的な優位を得るために、監視対象国に日本とブラジルを含めている。」とニューヨーク・タイムズ紙が報じていると書かれています。
外交的な優位を得るための監視活動では、ドイツやフランス、経済的には日本やブラジルと言うことです。NSAの海外拠点がイギリスやオーストラリア、日本、韓国などの米軍基地や在外公館内に置かれているということです。
同11月6日の記事では、
NSAの任務では、日本が経済的だけでなく外交政策や先端技術についても監視の対象となっているそうです。「Strategic Mission List」 という表題の文章があり、重要任務として16項目が明記されています。このうち「外交政策」では、中国、ロシア、フランス、ドイツ、日本、イラン、イスラエル、国連など19カ国・機関を対象にし、「新たな技術の脅威が見込まれる国」として、ロシア、中国、インド、日本、ドイツなどが挙げられています。また、「経済分野」では、中国、日本、イラク、ブラジルの4カ国、「持続的に監視する対象国」としは、中国を筆頭に北朝鮮、イラン、イラク、ロシア、ベネズエラの6カ国が挙げられています。
同11月7日の記事は、『英情報機関、独で盗聴か』というタイトルです。
「英国情報機関の政府通信本部(GCHQ)が、ベルリンの英国大使館を拠点にドイツ連邦議会や首相府の通信を傍受していた疑いが5日、英氏インディペンデントの報道で明らかになった」
英国大使館の屋上に白い円筒状の構造物があり、それが盗聴の拠点となる傍受装置とみられるらしいです。携帯電話や無線LANの通信を傍受できる可能性があるとのこと。英首相官邸の報道官はノーコメントを通しているようですが、欧州局長が英大使に事情聴取をし、「外交施設での通信傍受は国際法違反である」と指摘しました。
同11月10日の記事のタイトルは『機密報道、強まる圧力――英紙編集長、議会呼び出し』です。
英紙ガーディアンの編集長が12月に英議会の内務特別委員会に呼ばれ証言する事になったということ。英政府や与党の一部は機密の暴露を激しく批難し、報道への圧力を強めている模様。
「ガーディアンは英政府に資料を破棄させられたが、憲法で言論の自由を保障された米メディアと連携し、米国に保管されたデータをもとに報道を続けた」
「英当局は8月、スクープを連発した同紙コラムニストのパートナーをロンドンの空港で拘束し、内部資料の入ったパソコンを没収」
「キャメロン首相は10月、報道差し止めも辞さない構えを表明した。」
議会への呼び出しに対し、ガーディアンのラスブリッジャー氏は「国の安全や人名を危険にさらしたことはない。公益にかなう報道だ」と反論しています。
以上ですが、段々エスカレートしていく感じでしょ。日本政府も、今、「日本版NSA」の設置に励んでいるようだし、「特定秘密保護法案」も毎日のようにニュースで取り上げられています。以前、中国政府のハッキングとか、インターネットのセンサーシップなどについて、西洋諸国は非難を繰り返していましたが、同じ穴のムジナという態です。やはりこれは、高度に進んだインターネット社会の副産物でしょうか。SNSで「アラブの春」が起こったというような、市民にとって有意義な面もありますが、そのシステムを権力側(?)が握ったら、とんでもない世界が出現するということですネ。
『リキッド・サベイランス』という本があります。日本語の題は『私たちが、すすんで監視し、監視される、この世界について』です。それによりますと、今や人々は自ら進んでプライバシーを明け渡す時代とか。例えば、ネット上で注目を集めるため、また、ソーシャルメディア上でたくさんの「イイね」を得るため。このネット過剰状況は、人々の連帯に寄与する以上に、人々の間の新たな斥力を生んでいるとのこと。「持つ者と持たざる者」の分断、そして、上述のような「情報を搾取する者と搾取される者」の関係です。
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