この本のお話は以前にも取り上げました。その文章と重複するかもしれませんが、もう一度考えました。次回の英語のプライベート・レッスンの話題にしようと思うからです。あまり政治的な話をレッスンでしたくありませんが、「どうせ」なら興味のあることを話す方が楽しいでしょう。今度の先生はとても温厚な方なので、真剣な政治の話にはならないと思われます。それから、『謎の独立国家ソマリランド』は政治的な本じゃないしネ。冒険ドキュメンタリーなのだあ。
近年、欧米の威力が衰えつつあるのにともない、いろいろな状況が生まれています。また、そのような状況に鑑みいろんな観点からの本の出版があります。例えば、エマニュエル・トッド氏の『帝国以後』、『人類五万年文明の興亡――なぜ西洋が世界を支配しているのか』イアン・モリス著などなど。フランスの経済学者トマ・ピケティの書いた『21世紀の資本論』は、その渦中のアメリカでベストセラーになっているとか。『政治の起源』(フランシス・フクヤマ著)もおもしろそう。
つまり、この二~三百年、世界を導いてきた西欧民主主義、資本主義が曲がり角に来ているということ。このままこれらの概念に新しい息吹を吹き込むのか、あるいは全く新しいパラダイムを生みだすのか…、がどうやら現時点の問題らしい。ついこの六月にアルカイダ系のイスラム過激派組織イラク・シリア・イスラム国が「イスラム国」の成立を宣言しました。また、西欧民主主義を体現していない「中国」が世界第二位の経済大国になっています。違う体制でも、人類は発展できるということでしょうか。
という訳で、「西欧民主主義敗れたり!」のキャッチコピーを持つこの本『謎の独立国家ソマリランド』なのです。ソマリアは無政府の内戦状態にあり、今回の集団的自衛権の議論にもしばしば現われる「海賊」の横行する海域にあります。その「西欧が国境を定めたソマリア」の一部、旧英領ソマリランドが勝手に独立しソマリランド共和国を設立しました。しかし、事実上は独立国家として機能しているものの、現在のところ国際的にはソマリアの一部であると見なされており、国家として承認されていません。
海外諸国/国連から国家として承認されていなくとも、そこでの生活は平和が保たれており(南部ソマリアは戦闘状態、武器を携行しないと歩けない)、独自の通貨もあり~の、経済的にも安定しています。学校もあるし、物資も海外から入って来ます。そこで、この本の著者高野秀行氏は、どのようにこの国が運営されているのかと興味を抱き、入国に必要なビザもないまま旅立ちます。だって、国と認められていないのだから、日本ではビザは手に入らないよね。
もちろん彼は、現地での取材のための根回しは日本で行っています。いろいろな伝手をたどって、日本にただ一人ソマリランド共和国人がいることを発見するのです。ソマリランドの独立の英雄とかで、イブラヒム・メガーグ・サマターさん。彼にソマリランドで信頼できる人を紹介してくれるようにお願いすると、大統領、与党の党首、第一野党の党首、大統領スポークスマンの名前と肩書を上げ、居場所は行ってから誰かに聞けばわかるというもの。それから、ビザはエチオピアの首都、アジスアベバで手に入るという情報も得て、即、羽田空港から飛び立つのでした~~~。そして、陸路エチオピアからソマリランドへ。
次回につづく。
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