わたしの基本的興味は、「この世界がどうして今あるように存在しているのか」ということです。なぜ、宇宙はこのようあるのか。地球上の生命はなぜこのような状態で存在しているのか。人間はなぜこのような社会を形成し地球上に生きているのか。わたしは、もちろん科学者ではありませんので、自分で理論を構築する力はありません。それでも、わたしなりの感想は書けるだろうと、本の感想文を書くことにしました。それこそわたしの理解の範疇ではないかもしれませんが、「宇宙のはじまり」に関しての考察を、いろいろな本を参考にして、わたしが書きたい事の「はじめに」にしたいと思います。
わたしたちの宇宙は、約137億年前に生まれました。約138億年という説もありますが、ほとんどの人にとって、大した問題ではないと確信いたしております。物質も空間も時間もない「無」の状態でごく小さな宇宙が生まれたり消えたりをこれまで繰り返していましたが、その一つがなんらかの理由で消えずに残ったと言われています。これも一つの説ですが。スティーヴン・ホーキングは、この宇宙が始まる以前に16~7次元に折りたたまれていたものが、ある瞬間に開いたため、宇宙が無から生まれたように見えると言っています。
誕生直後の宇宙は10のマイナス35乗メートル。その宇宙が、10の36乗分の1秒の瞬間に膨張し、宇宙は3ミリメートルとなります。この瞬間のインフレーションの膨大なエネルギーが熱に変化して、ビッグ・バンが引き起こされました。インフレーションの原動力になったのは、「右巻きニュートリノの超対称性パートナー」かもしれない……と、村山斉氏は言っています(『宇宙になぜ我々が存在するのか』)。ガモフがビッグ・バンの名残りである「宇宙背景放射」の存在を予言していましたが、1964年にはそれが発見され、1970年には、「ビッグ・バンが起こったという説」が広く認められました。
ビッグ・バンにより、大量の素粒子が生みだされます。それは、ビッグ・バンの瞬間から3分間で起りました。3分間で宇宙を構成する総ての物質の基となる素粒子が生まれたのです。素粒子には、粒子と反粒子が存在しますが、この二つがぶつかると消滅します。南部陽一郎氏によりますと、粒子よりも反粒子の方が10億個に1個ほど少なかった。そこで、反粒子はすべて消滅し、残った粒子が現在の宇宙の物質の素になったということです(自発的対称性の破れの発想)。
宇宙誕生の3分後までに、陽子2個と中性子2個がくっつきヘリウムの原子核ができます。では、陽子と中性子はいつできたのでしょうか。コンピュータのシミュレーションによりますと、陽子や中性子は2兆度で溶けます。よって、宇宙の温度が2兆度以下になった時に陽子と中性子が存在可能になると言うことです。それは、宇宙誕生から5万分の1秒後となります。ついでながら、2000年からの米国での実験では、4兆度に達した時、陽子と中性子が溶け、クォークが現われました。
さて、ヘリウムの原子核ができたのは、宇宙の温度が10億度の時でした。それからも宇宙は膨張を続け、38万年後に約3千度まで冷えます。この時までに生まれた原子核の92%が水素原子核、8%がヘリウム原子核、プラスわずかなリチウム原子核です。つまりこれまでの過程をまとめると、クォークが強い力で閉じ込められて陽子や中性子となる。そしてそれがくっつき合い、ヘリウムの原子核や水素原子核となりました。
宇宙の膨張のために宇宙の温度が下がっていきます。温度が高い間は電子が飛び回っているので、光(PHOTON)は電子にぶつかってまっすぐに進めません。温度が3000度まで下がると、水素の原子核の周りに電子が捉えられるようになります。宇宙が100億キロメートルくらいになった時です。つまり元素として安定しました。ビッグ・バンによって生みだされた素粒子が元素として安定した結果、光が直進できるようになりました。「宇宙の晴れあがり(Transparent to radiation)」と呼ばれています。宇宙誕生から38万年後のことでした。つまり、我々が光を捉えることができるようになって、宇宙を見ることができるようになったということ。「宇宙が晴れ渡った」のです。この時、宇宙の大きさは1000万年光年でした。これ以降の現象を我々は38万年後から来る光を観察することによって研究できます。言い換えれば、宇宙の誕生から38万年後の間の事象を我々は観察することができないと言うことです。それ以前の宇宙を見るには、光以外の何かを利用しなければなりません。
宇宙の誕生後10億年しないくらいの間に、最初の恒星が輝き出しました。大雑把に言いますと、クォークが強い力で閉じ込められて陽子や中性子となる…、中性子はすべてヘリウムの原子核に取り組まれる…、原子核と電子がくっつき原子となる…。エネルギーの濃い場所の重力に原子が引き寄せられて、星となる。そして、星が集まって銀河となるのです。ロマンチックですよね。天の川銀河の中で46億年前に原始の太陽が出現したのでした。
水素原子とヘリウム原子から星になりますが、中心部が密度の高い状態になると核融合が始まります。そして、周囲に熱や光を放出します。このため、現在、原子番号が振られている原子が生みだされていくのです。水素、ヘリウム原子、炭素原子、酸素原子、ネオン、マグネシウム、ケイ素、鉄……です。そして、恒星が星の形態を維持できなくなった時に爆発し、そこで生みだされた原子が宇宙に散らばっていきます。超新星爆発です。我々が、『僕らは星のかけら』と言われる所以ですね。
46億年前に太陽が出現し、我々の地球は、46億年前に生まれました。そこで地球上に生命が生まれるにはあと6億年かかり、40億年前に地球上で生命が誕生するのです。そこからのお話は、第1章『ミトコンドリアが進化を決めた』に続きます。
参考文献:
『宇宙は本当にひとつなのか』
『宇宙になぜ我々が存在するのか』
『オリオン座はすでに消えている?』
『真空のからくり』
『超弦理論入門』
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