新聞記事のタイトルです。二日連続の特集でした。一日目は、トランスジェンダーに関しての記事、二日目は、「社会における男」の役割です。トランスジェンダーのトピックは前回書きましたが、少々複雑で重たかったので、英語クラスのトピックとしては、二日目の「男の役割」の方を選びソフトに書いてみました。
「男らしさ」と同時に「女らしさ」も存在しますが、「男としての成功像」を生きること、あるいは社会が求める男を演じる方が女性の場合より、よりタフなようで、男性の自殺死亡率の方が多い傾向にあります。(しかし、先進国で比べると、日本の女性の自殺率が高いのは特殊な部類に入るらしい。その他の先進国に比べ日本の女性に対する抑圧は高いとも言えるだろう。)
英国では、20歳から49歳の男性の主な死亡原因は自殺が占め、癌や交通事故を上回ります。そして先進国では、男性の自殺率は女性に比べ3~4倍になっています。
ネットからの引用:
「男性に自殺が多い:これもまったくその通りで,ほとんどの国で男性の方が女性よりも自殺率が高い。日本でも男性の自殺者は女性の2.5倍である。現在のように中高年の男性自殺者が急増する前(例えば1997年)はだいたい2倍だった。男性が女性の2倍というのは世界的に見ると小さな数字だ。先進国ではやや特殊な部類に入る。米国では男は女の4.2倍,英国は3.6倍だ。日本では女性の比率が高いことがわかる。実際,WHOが把握している99カ国の自殺率を男女別に比較すると,日本は男性では世界12位,女性では5位になる。日本でも男性の方が自殺者は多いが,日本は女性の自殺率が高い国といえる。」
それでは、男は、どんな「男らしさ」を社会から強要されているのでしょうか。
1.中高年男性のセミナーの場合
オランダ生まれの作家レオ・レオニ作の絵本『ひとあし・ふたあし』という本を読み聞かせます。
動物の大きさを測る冒険を続ける小さな尺取り虫は、最後に鳥から「わたしのうたをはかってごらん」と言われます。出来なければ食べてしまうと。それで、尺取り虫はどうするのかという答えをセミナー参加者に問います。
中高年男性参加者の答えは、「仲間を集めて知恵を絞る」、「歌を採点する」など。どう解決するかを考えます。しかし、絵本の答えは、「逃げる」でした。「理不尽なことがあっても立ち向かう。逃げる発想なんてなかった。」と社内のトラブルの責任を問われて47歳で辞表をだした男性が述べていました。
2.高齢男性者向きの料理教室にて
最高年齢者は89歳の男性は、一昨年妻に先立たれました。一人で暮らし始めると、普段の生活がスムーズにいかない。妻が、「料理や掃除は大変だ。」と言っていたのを思い返した。女として当り前と思っていたが、稼ぐこと以外しなかった自分を思い、頼っていたのは自分であったと思い至る。そして、生活面で自立してこなかった自分に向き合うのです。
「男性が稼ぎ女性は家事」という枠組みは、近代以降の産業化で作られたもの。家族を養う責任を男性が担うと同時に、「男性優位な」労働市場が出来上がったのです。しかし、経済の成長が行き詰った時、男性がひとりで家族を養う事が難しくなった。つまり「男らしさ」を維持し続けることが難しくなってきているのです。しかし、未だに男性は男性中心の家族観や男女観から抜けきらないという実情。その矛盾の中で心を病む人々の問題がクローズ・アップされてきています。
3.制服を交換
男女の制服を交換し、最も身近な「らしさ」から離れてみる試み。山梨県の高校において、今月11日に催されたセクスチェンジ・デー(sex---exchange)。男子生徒・女子生徒の希望者がお互いの制服を交換しました。
制服交換に参加した3年生の男子生徒は、
「高校生の僕に男らしさがプレシャーになることはありませんが、小さい時に『男の子だから泣かないの』と言われたことを思い出す。社会に出たり家族を持ったら稼ぐことや家族を養う事に責任を強く感じるようになるかもしれない。大人になって、『らしさ』のプレシャーにとらわれてしまう時こそ、今日の体験が役に立つだろう。」と語りました。
他者から期待されたり、自分で規制したりし、自分が何かの役割を演じていると気付く事が大切です。一日目の「トランスジェンダー」の問題にも関連し、ヒトは決して「男と女の2種類」しかない訳ではない。男・女に関係なく、何事からも自由な心を目指していきたいものです。
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