最近根気よく本を読むことが出来なくなって来ました。問題は、頭がちゃんと働く時間帯は、囲碁の勉強をしているからです。つまり囲碁以外の本は、夜ビールを飲んだあとに読むので、頭に入って来ません。そこでどうしようかと。
学生時代の本を読む習慣を思い出しました。学生の時はどうしても研究書とか専門書を読まなければいけませんでしたが、取っ付きにくいもの。それで、いつも、先ず推理小説や怪奇小説SFなどの本を2~3冊読み、その後にふつうの小説を読みます。そして、エンジンがかかって来た頃に学術書を読んでいました。
と言うことで、ビールで頭が働かない時に、いわゆるエンターテイメント小説をよもうと。そして、本を読む習慣を取り戻そうと。
そこで購入したのが、『クリーピー』です。本のカバーが西島秀俊、竹内結子、香川照之だったのです(映画化の時の配役)。これなら買ってすぐに読めそうだと直感。
読み終えました。「クリーピー」と言うのは、虫が這いまわる…、転じて「気味が悪い」とか「背中がぞくぞくする」と言ったような意味です。「虫唾が走る」と言うことでしょうか。主人公のお隣さんが、いつの間にか入れ替わっていた(ようだ)という設定です。映画は見ていませんが、そのお隣さんがたぶん香川照之なのでしょう。そして、過去の未解決殺人事件と現在の連続殺人事件の絡み合い――です。
ミステリーなので、あらすじを書くのは難しいですが、感じたことは、この頃のこの手の小説はほんとに「過激」だなあ、と言うこと。たいてい複数人が殺されますし、殺され方も「半端じゃない」…よね。これでもか、これでもかと、恐怖をたたき込むのは何時頃からの流行でしょうか。。。
著者は、前川裕氏です。2011年、第15回日本ミステリー文学大賞新人賞をこの本で受賞したとありました。新人らしくちょっと文章が熟れていないところがありますが、スラスラと読み進められます。解説によりますと、この手の作品は「変格探偵小説」と呼ばれるそうです。「本格探偵小説」との対比です。
謎解きよりも怪奇幻想性やエロ・グロ、SF的要素になどに比重を置くものと定義されていました。1920年代の「変格探偵小説」群は、現代日本のエンターテイメント小説に多大な影響を与えているとのこと。江戸川乱歩、夢野久作、久生十蘭、小栗虫太郎、国枝史郎などの著作者の名が挙げられています。
これを読んで納得です。これらの作家の本は、わたしの本棚の定番です。高校生時分からの愛読書。わたしがスーパーの本屋さんで『クリーピー』を手に取ったのも正しい選択だったと言うことでしょうか。
その後の作者の著作は、『アトロシティー』(2013年)、『酷 ハーシュ』(2014年)が刊行されているようです。「本書を気に入ったかたは、ぜひご一読を。」と解説の最後で推薦されていますが、わたしが読むかどうかは、どうでしょうか。またのお話です。
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