8月16日の新聞記事で、とても興味深いニュースを見つけました。ラットの細胞から「人工脳」を創ったというニュースです。
記事によりますと、アメリカ、マサチューセッツ州、タフツ大の研究スタッフが、神経細胞を特殊な物質で培養して、原始的な「脳」を人工的に作り出すことに成功したといいます。人間の大脳は、糸状の神経線維が集まった「白質」の表面を、神経細胞が集まった「灰白質」が覆っているそうで、二重構造を示しています。
で、研究では、絹でできたスポンジ状の物質にラットの神経細胞を含ませて培養し、神経細胞がこの物質を足掛かりにし成長することを確かめました。そこで、この物質をドーナツ状にして培養し、ドーナツ部が灰白質、中央部が白質の脳の様な立体構造を得たということです。
人間の脳は、外傷に対して化学物質や電気信号を発することがわかっていますが、この得られた人工脳らしきものにおもりを落とし、刺激を与えたところ同様な反応が見られたそうです。
脳の研究には、実際の脳組織(霊長動物かヒトの遺体から)が使われていましたが、これで、人工脳からの脳研究が可能になったということです。脳の仕組みや性質、外傷や薬物に対する反応を調べることができるそうです。この大学の教授カプラン氏は、現在、人間の細胞による立体的な「脳」開発の研究中だそうですよ。なんとね!
この記事は朝日新聞からのものです。それで、英語の学習に役立つかと検索したところ、多くの英文の記事が見つかりました。そのひとつを読んでみました。わたしが読んだものは、アメリカの新聞からのものではく、科学ブログを書いている人の物のようです。多少、朝日新聞との食い違いがありました。
ひとつは大学名が違う。「by a team at the University of
Pittsburgh」となっています。作り方や人工脳の形状は同じです。もうひとつは、朝日新聞では単に「刺激に反応」とありますが、ここでは、「12秒間の記憶」とあります。
----the team found that when they stimulate
the neurons with electricity, the pulse would circulate the microbrain for a
full 12 seconds. That’s roughly 12
seconds longer than they thought it would (they expected the pulse to live for
about a quarter of a second). That’s
essentially short-term memory.
この英文のブログの書き出しは次の様;
It’s not artificial intelligence in the
Turing test sense, but the technicolor ring you see above(この文の上に写真あり) is actually an artificial microbrain, derived from rat train
cells---
それで、ふたつめのニュースです。8月8日の記事から『コンピュータまるで「人の脳」』。人間の脳のように同時並行的に情報を処理するコンピュータ・チップを米IBMが開発した、と書かれています。
従来のコンピュータは人がプログラミングをして、コンピュータがそれを実行するというもので、コンピュータ自身が何かをしているわけではありません。が、開発されたチップは、脳の神経細胞が外部の刺激で変化しネットワークを形成して情報を処理するように、入力に応じてデータの流れが変わり、「電子部品である素子がネットワークを構成」してデータを処理します。
データを与えるほど、学習して認識機能が向上するということで、実際、大規模コンピュータはフェイス・ブックなどSNSとリンクして日々学習に励んでいます。このチップによって、そんな大規模コンピュータでなくとも、ふつうのロボットや家電や自動車がこの機能を持つことになります。今後は、チップをロボットに組み込んで「猫並みの」情報処理能力を実現することを目標に掲げているとか。これは、東大准教授、河野崇氏によりますと、神経細胞の働きをまねた素子を、人の大脳のように大規模なネットワークに組み立てる技術の基盤ができたという意味だそうです。
どうですか、この「脳の話」二題は。これだけ人類がいろいろなことをやってくれたら、「もういいや」って気になっちゃいますね。「自然との共生」とかなんちゃらかんちゃら、「行くところまで行ったら!」って。もう取り返しのつかないところまで来ているのならね。
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