前回の「脳の話二題」の最後に、「これだけ人類がいろいろなことをやってくれたら、『もういいや』って気になっちゃいますね。」と書きました。ちょっと言い過ぎかなとは思ったけど、それは、その前のニュースで読んだ「気候工学」が頭にこびり付いていたからです。
二酸化炭素の排出量増加による地球温暖化など、この頃の地球の天候はわけがわからなくなっています。そこで、二酸化炭素をたくさん排出する石油など化石燃料の使用を抑えようと言う取組とともに、違う側面からこの問題に取り組んでいる人たちがいます。七月末に欧米の専門家たちがドイツのハイデルベルグ大学に集まり研究会を開きました。
気候工学と呼ばれる技術を使って気候に手を加えるのです。その方法も多彩なようですが、有望なのは、成層圏に硫酸の粒子状のものを注入するもの。費用も割と少なくて済むそうです。二酸化炭素を抑制する為に使うお金の1%もあれば足りるとか。地球を覆う日傘を作ると言う発想です。「気候を改造したい」という考えは、新しいものではないのですが、なにしろこのご時世、俄かに脚光を浴び始めました。
記者は、「でも、何だか、環境破壊を抑え込むために、別の環境破壊をするような~~~」という感想をもらしますが、彼らは、「その通り。でも、それがどうした?」と。「もし今が西暦1500年で、人類が石炭や石油を使おうかどうしようかと考えているのなら、そういう議論をしても良い。現実には70億以上の人間がいて、毎年、100億トン以上の化石燃料を燃やしているのだ。」と。
米ラトガーズ大学のアラン・ロボック教授はこの試みによるいろいろなリスクを上げていますが、今年はリスクだけではなく「利点」も上げています。
「出来る限りの努力をしても、ひどい温暖化が進むことがあれば、私たちはいずれ、こう自問しなければならない。気候工学が危険なのか、それとも使わない方が危険なのかと。」
記者は、気候の改造など人間が手を下していいものなのかと思う一方、「我々は、もう後戻りできないほど、気候を、地球を改造してしまったのではないか」と自問しています。
もうひとつ、我々人類は後戻りのできないことをしているのではないかと思わせる記事があります。それは、微生物に外から別のDNAを組み込んで新たな生物を作り出していると言う事実です。取り立てて目新しいことでもなさそうと思われるかもしれませんが、実際、研究段階ではなく企業が作りだしているとなると、話は別のものになってきませんか。
フランスのベンチャー企業、グローバル・バイオエネルギー社は(なんだかバイオハザードを地で行くような)、ガソリンの基を吐きだす微生物を造り出しました。三井化学は、簡単に言うと、大腸菌からプラスティックを造り出す研究に取り組んでいます。また、アメリカでは、イースト菌に別の遺伝子を組み込み、マラリア治療薬の原料を造ることに成功もしています。
これらの改変された微生物が、研究室から外に漏れだしたら、地球の生態系はどんなことになってしまうのか想像もできません。でも、それだけ人類はそこから恩恵を受けることになるので、……、もう後戻りはできないんでしょうかね。
いつだか忘れましたが、5,6,7,8年前、遺伝子組み換えをした、実験用のラットが成田空港で逃げ出して、捕獲はされたものの、そこで繁殖行動をしていたらどうなっていたのかと大問題になりました。関係者は、「すぐに捕獲したので、そんなヒマはなかった。」とコメントしているんですけどね。
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