次回英語トピック・クラスで話そうかなと思う新聞記事のタイトルです。告白しますと、わたしは政治に関してまったく興味はありません。特に「選挙」には。わたしが興味のあるのは、なぜこの世界はこのような仕組みで動いているのだろうということです。大袈裟に言うと、「宇宙はどうしてこのように存在しているのだろう。人類はどうしてこのような世界を作りだしたのだろう。なぜ日本は世界の中でこのような位置付けとなっているのだろう。」ということです。
と言う訳で、アメリカの大統領選挙にも全然興味はありませんが、わたしの「どうして」に関連して興味があるわけです。この記事では三人の日本人がトランプ氏のことを分析しています。その分析には興味深いものがあります。トランプ氏は、アメリカ共和党の大統領候補者の一人で、『「不動産王」のトランプ氏と、カリスマ的神経外科医だったカーソン氏が支持率のトップを争っています。』という状況です。
一人目は、町山智浩さん。米在住の映画評論家・コラムニストで、1962年生まれ、バークリーに居を構え、米国の映画や社会を日本のメディアに紹介しています。
彼の分析でとても興味深かったのは、「アメリカの政治は『自由』と『平等』という、もともと相いれない二つを根本的な流れにしている。」と述べている事です。哲学的命題ですねえ。そして、民主党は「平等」を、共和党は「自由」を重視していると続けます。なんだかとてもスッキリしていますねえ。
「自由」を至上とする共和党は、政府の干渉を嫌うわけですから、その干渉をする政治家を投票で選ぶという矛盾があります。そこで、トランプ氏のような金持ちの経営者がだれの「ひも付き」でなく、自分の金で言いたいことを言い、「自由競争」を掲げるのはなんの矛盾点もないわけです。彼の支持者はブルーカラーの白人男性層ですが、彼らのアメリカの現状不満をトランプ氏はうまく吸い上げて、移民や女性や中国批判を言いたい放題に言うこと…、そんな事を彼らだって心から真に受けている訳ではありませんが、彼らの「うっぷん晴らし」となっている訳です。
町山氏の結論は、アメリカ人の右も左も「共和・民主」の二大政党に辟易しているんだ…、と言うことでした。
二人目は、海野素央さん。明治大学教授。1960年生まれで、専門は異文化間コミュニケーション論です。彼は、米大統領選をコミュニケーションの視点から研究しています。トランプ氏についての分析は、「コミュニケーション力の点では、一頭地を抜いた存在です。最も目立つのは、ビジネスで体得した戦略を選挙に応用している点。これが職業政治家への反感と言う世論と合っている。」ということ。
ビジネスで体得した戦略とは、白人の中低所得者と退役軍人を固定客とし、大切にしているということ。移民や女性への蔑視言動は、この固定客に心地良いのです。海野氏は、「トランプ氏が大統領候補者選に勝つためには固定客以外にも支持を広めなければいけない」というところに矛盾が生じると指摘しています。差別的、排他的暴言を控えなければいけないからです。そうすると彼の魅力が半減してしまいますからね。
三人目は、湯山玲子さん。1960年生まれ。著述家・ディレクターです。彼女の論点は、アメリカで女性大統領が生まれるのか、と言うこと。「西部開拓の昔から、男性がリーダーシップをとらなければならないという強迫観念が強いあの国で、女性大統領が誕生するのかどうかということですね。トランプ氏人気は、これと併せて考えてみるべきだと思うんです。」と述べておられます。
地味な候補者ではヒラリーに勝てないので、トランプ氏のキャラが必要と言うこと。女性大統領の可能性に揺れる男性心理を指摘しています。
彼女は、クリントン大統領の誕生を望んでいます。なぜなら、「最大の同盟国」であるアメリカで女性の最高指導者が活躍することは、日本の女の子の夢ともなるからと。政治家と言う仕事が、彼女たちの選択肢と成り得ることを示します。
日本の企業や組織では、男女が対等に議論できる土俵が整っていません。会議などで女性が同意見ならば、男性は優しく女性を応援してくれますが、男性に反対意見を言おうものなら、感情的に反発され、目の敵にされます。「生意気な奴だ。」なんてね。その後の仕事にも差し障りが生まれます。
政治家についても、保守系はひどいですよね。安部政権で重用されている女性の官僚や幹部は、まるで男性によりそう優等生のようです。湯山さんは、「強権的な父親に憧れ、可愛がられたいと望む娘のよう」と表現しています。そして、民主党の女性議員の国会での発言には、自民党のヤジだらけ。トランプ氏以下かも。
湯山さんの結論は、「アメリカ大統領選はこれから、女性リーダーと男性リーダーについて、もっともっと考えさせる場になっていくと思う。どうせなら、トランプさんが共和党候補になって、クリントンさんとの真っ向勝負のディベートを見てみたいですね。」でした。
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