英語のREADINGのクラスが月1回あります。生徒3人とイギリス人の先生を囲んで「なんちゃらかんちゃら」とお話しする会です。その中の一人が(もう10数年来の英会話友達なんですけど)、月にもう1回クラスを持ちたいと我々に持ちかけました。READINGは、本を読むのが大変だから小トピックを持ち合って、ただ話すだけのクラスはいかが、とのこと。それで、とりあえず試してみようということになり、来週集まります。
3人でひとつずつトピックを持ち寄ります。まあ、ひとり20分の持ち時間という事で、話題の説明ですね。何を持って行こうかな~って、思うこの頃です。で、READINGの時、度々「男と女は違うから」と発言する人がいて、わたしはいつも「なんなんや」と聞いていたのでそのことにしようかなと思いつきました。というのは、わたしはナチュラル・ボーン・フェミニストを自認してますから。でも、最初から討論をしようなんて気はありませんよ。この手の討論は不毛に終わることが多いので。経験上そう思います。よって、ソフトに話題を提供するだけです。ちょっと、笑いも入れといてなんて。
最近、おもしろい新聞記事を見つけました。「(女)男が生きる――らしさって?」という題です。2日間連載の記事でした。一日目は、「性別が『自分』を奪った」という副題で、性が身体と心で一致していない人、あるいは同性に愛を感じる人の話でした。そういう人たちにとって「男らしさ・女らしさ」はどういう意味を持つのでしょうか。
例として取り上げられていたのは、心は男なのに女の身体を持って生まれた人の話でした。その人は吐瀉物をのどに詰まらせて21歳で亡くなったそうです。不安定な状況で、薬物の異常摂取の結果です。「死んでもいい」と思っていたとも。
性同一性障害に生まれて、高校2年生で男性の制服を着られるサポート校に転校しました。それから、男性ホルモンの投与を受け、その後、3回の手術を経て男の体を手に入れます。戸籍上の性別も男性に変更しました。
彼のブログにこう書かれていました。
「自分らしくの前に、男/女らしくにこだわってしまう。性別なんて……そう言っている当事者が一番性別のことを気にしている……。」
つまり、「ふつう」に生きたかったのに女の身体を持ったゆえに「女らしさ」を強要され、それに反発して「男らしさ」を普通以上に求めて苦しんだ、ということです。どこまで行っても「ありのまま」を手に入れることができないのです。男の体を持った心は女の人は、「女でありたくて」より「女らしく」振舞う努力をする。その反対もまた然りのようです。
アマルティア・センの『アイデンティティと暴力』を思い出しました。人は一つのアイデンティティで生きているのではないと。一人の人間の中にいろいろなアイデンティティが存在している。その中の一つだけを取り出して、議論することはナンセンスと思いますよね。
もうひとつ思い出しました。映画Boys Don’t Cry. です。女の身体で男の心を持った少女の話です。アメリカの田舎町ではホモセクシャルなんて、犯罪ですから、彼女は常に男の子の服装をし、ばれないように男の子のように振舞っていました。好きな女の子もいて、彼女とのセックスも男としてうまく振舞っています。しかし、だからといって、彼女は純真な心を持っている訳ではない。好きな女の子がいるけど浮気もいっぱいしているような人物です。そして、男の子が好んでするような度胸試しのような悪さにも積極的に係わっていきます。走っている車の屋根にどれだけ長くしがみついていられるかのような。
調べてみましたら、これは実話のようです。ここでも、自分を生きられない悲劇が描かれています。わたしは、泣きましたね~~~。しばらくは、この映画を思いださないようにしていました。泣けちゃうから。以下は、ウィキペディアからの引用です。話の筋を知りたくない方は読まないでください。
Brandon Teena is
a young female-to-male non-operative transgender man, whose birth name was
Teena Ray Brandon. When Brandon is discovered to be anatomically female by the
brother of a former girlfriend, he becomes the target of physical threats. Not
long after, he is involved in a bar fight and is evicted from his cousin's
trailer. Brandon moves to Falls City, Nebraska, where he cultivates friendships
with ex-convicts John Lotter (Peter Sarsgaard) and Tom Nissen (Brendan Sexton
III), and their friends Candace (Alicia Goranson) and Lana Tisdel (Chloë
Sevigny). Brandon becomes romantically involved with Lana, who is unaware of
his biological sex and troubled past. The two make plans to move to Memphis,
where Brandon will manage Lana in a karaoke career.
Brandon is
detained for charges that arose prior to his relocation and placed in the
women's section of the Falls City prison. Lana bails Brandon out. After Lana
asks why Brandon was in a women's prison, Brandon lies to her, saying he was
born a hermaphrodite and will soon receive a sex change. Lana declares her love
for Brandon, "no matter what he is." Tom and John become suspicious
after they read a newspaper article about Brandon that refers to him by his
birth name, Teena Brandon. Tom and John force Brandon to remove his pants,
revealing his genitals. They try to make Lana look, but she shields her eyes
and turns away. After this confrontation Tom and John drag Brandon into
Lotter's car and drive out to an isolated location, where they violently beat
and rape him. Afterward, they take Brandon to Nissen's house. Though injured,
Brandon escapes through a bathroom window. Having been threatened by his
assailants and told not to report the attack to the police, a distressed
Brandon is nonetheless convinced by Lana to file a report.
One evening, John
and Tom get drunk, and decide to kill Brandon. Despite Lana's attempts to stop
them, John and Tom drive to Candace's remote house where they find Brandon, who
has been hiding in a shed on Candace's property. John shoots Brandon under the
chin, and Tom shoots Candace in the head while Lana fights them and screams for
them to stop. Tom stabs Brandon's lifeless body and then he attempts to shoot
Lana, but is stopped by John. John and Tom flee the scene, while Lana lies with
Brandon's dead body.
The next morning,
Lana wakes up on Brandon's dead body. Her mother arrives and takes an
emotionally wrenched Lana away from the scene. The film ends with Lana leaving
Falls City while a letter Brandon wrote to her is read in a voice-over.
英語クラスのトピックとしては重すぎましたね。違う話題を考え直します。
二日目の副題は「『逃げる』を選べぬ夫」でした。このお話はまたの機会に。
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