2015年10月24日土曜日

「夏休み 上海に行く」の巻  (上海滞在記 2003-2005)



わたしがなぜ上海に住みついて仕事をする羽目になってしまったのかを思い出すと、未だに腹立たしい限りです。しかし、それはメイの責任とは、わたしは思っていません。2002年にメイとイギリスで知り合って、三週間マーゲートの英語学校で共に過ごしました。その頃のお話を書く機会もあるでしょうが、メイさんとはすっかりお友達となりました。

 

メイはまだイギリスに残ると言う事で、わたしは一人先にイギリスを立ちました。その前日の夕方、彼女の寄宿先とわたしの寄宿先の真ん中あたりの駅で最後のお別れとなったのです。メイは、ハグしようかと言い、「そうだね」と抱き合いました。お互い、目に涙が溢れていましたが、メイは「泣くなよ」って。わたしも「フン、泣かないよ」と言って、さよならをしました。

 

 

その後、メールアドレスだけは交換していたので、メイからメールはありました。「MISS YOU. MISS YOU…」と。暫くのメールのやり取りの後、「わたしも上海に戻ったよ。」というメールが届きました。わたしが帰国してからさみしくて、また日本に行っちゃおうかと思ったけど、とにかく上海に帰りましたと。そして、わたしに上海に遊びに来て下さいとの懇願です。

 

わたしは、「え~~~ッ、そんなに思ってくれてるの。」と思って、「夏休みに行っちゃおうかなあ~~~。」と考えました。上海はわたしの好きな街でもあります。先ずは、上海ジャズ。そして、映画の『上海バンスキング』。また、大阪の叔父さんが、若い頃新聞記者として上海で暮らしていたことも思い出しました。上海ってどんな所だろうという妄想が一気に膨らんできたのです。

 



 

そして、2003年の夏に上海に降り立ちました。わたしは単に三週間の観光旅行の気分だったのですが。

 

メイは、上海空港まで迎えに来てくれて車でホテルまで送ってくれました。ホテルも「中国人が予約した方が安いね。」と、すべて計画してくれたのです。わたしは、ホテルまで送ってもらって、ご飯でも一緒に食べたらさよならして、「明日からは一人で上海探索だ」と考えていました。ところがメイは、毎朝ホテルまで迎えに来てくれて、その前の日にわたしがリクエストした所へ連れて行ってくれたのでした。

 

また、メイの友達とのクルーズも計画していたらしく、船中で一泊の小旅行にも連れて行ってくれたのです。目的は海水浴で、現地で一泊と帰りの船中泊も含め、計三泊四日の予定でした。メンバーは、メイの息子のトニーとメイの友達とその息子(中学生)、それからメイが以前勤めていたところの同僚とその息子(高校生)。全部で七人です。その珍道中ぶりもまたのお話と致しましょう。

 

 

今回は、なぜわたしが上海にいるのかという導入部分のお話です。メイには、わたしの仕事のこと(シルバージュエリー、デザイン、制作販売、講師など)も話してありました。そして彼女が共同経営をしている会社で、説明会とワークショップをしてくれないかと頼まれていたのです。その共同経営者が、海水浴旅行の一人だったのです。ワンさんです。

 

小旅行から帰ってからメイがホテルまで迎えに来ると、「今日はわたしの会社に案内するよ。」と。ワンさんが待っていました。もう凄い歓待ぶり。しばらくお話やら会社の案内をしてくれたあと、ワンさんはおもむろに言いました。「あしたから生徒が3人来るから教えてください。その人たちジュエリーの作り方学んで来月お店を出します。」

 

わたしは、「え~~~ッ、??!!!???」。

 

実は小旅行の計画もワンさんの企みで、旅行代金は彼女が出した模様。わたしはメイにもお世話になったので、彼女のために一週間くらい教えてあげてもいいかという気になってしまったのです。メイに「知っていたのか。」と聞くと、彼女もこの事は知らなかったと。その時は彼女の言葉を信じましたが、今は「どうなんだろう」と疑っています。

 

 

とにかく、彼等に少し教えました。男の子2人と女の子。ひとりの男の子は大学を卒業したばかり、あとふたりは大学生。でも4年生なのでもうあまり学校に行かなくていいから大丈夫とのこと。わたしはもう帰る日が来るのでどうするんだろうと思っていましたら、ワンさんは、「彼等(女の子はワンさんの姪でした)はまだ学ばなければいけないしお店の相談もあるのでまたすぐ来てください。」と言います。つまりワンさんとメイはわたしといっしょに仕事をしたいらしいのです。条件とかいろいろ提示されました。その時は中国人の実態を全然知らなかったので「それも面白いかな。」と思ってしまったのが間違いのもとでした。

 

その時点では、「ホテル代と航空券代と食事代そして報酬は歩合」という条件でしたが、メイが「歩合は変ね。仕事あるかわからないよ。生徒の授業料だけはもらった方がいいよ。」と教えてくれました。それで「ホテル代、航空券代、昼食代、授業料」だけは確保してあとは日本で考えてくるということにしていったん日本に帰って十日後にまた上海に来ることにしました。その時までに住むところもちゃんと用意しておくと言う約束で。でも、彼等が銀アクセサリーの制作技法を学んでお店を出すまでの一カ月の約束ですよ。

 

こう言う訳で九月初めに再び上海に降り立つことになりました。今までの話を読んで頂けた方は、「わたしとメイが会社を持っているはずでは」と、お思いかもしれません。

 

その通り。

この話はこれで終わるはずはなかったのでした~~~。







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