2013年8月13日火曜日
最初の一週間の学校生活
『英語と旅する』の続きです。
��一週目の学校生活は…>
学校の授業は大変だった。ひとつは、自分のルーツを述べる時のこと。ヨーロッパの人たちは、たいてい、「父は何人、母は何人」とか、祖父は祖母は・・・、という話になる。また、何時の頃イタリアにやって来たとか、何時の頃ドイツにやって来たとかいう話に。しかし、わたしはただ一言「日本」でおしまい。「父は日本人、母は日本人、日本に住んでいる」、だけだ。一度、父は名古屋、母は京都と言ってみたが、スイス人の女性に「それがどうした」というような顔をされて、メゲタ。
もうひとつは、ロールプレーゲームをしたこと。生徒は二人ずつ組んで、ひとりはホテルの受付、ひとりは客になる。客が部屋の文句を言い部屋を換えてくれるように言う、受付係はその文句を受け付けないで済ませるようにするという設定だった。わたしはドイツ人の男性と組まされたが、普段から文句など言ったことがないので何を言ったらいいのかわからない。先生が見るに見かねて「駐車場が側にあるのでうるさいから部屋を換えてほしい。」と言ったらどうかと助言してくれた。そうは言ったものの、「他に空いている部屋はないから、換えられない。」と言われると、次の言葉が出てこない。わたしはすぐに降参。「わかりました。このままでいいです。」と言うと、相手のドイツ人は、「では、夕食にステーキをサービス致しましょう。」と言った。後々も、このようなヨーロッパ男性のやさしさに恐れ入るとともに、ヨーロッパ女性の上から目線の態度に辟易した。
二日目、あまりにもクラスのレベルが高いので、自分のクラスが何クラスなのか壁に貼ってあるクラス分けの表で確認した。インターメディエットクラスだった。日本でのクラスより一段階上のクラス。クラスが終わってから先生を捕まえて、クラスを換えてくれるように交渉しようかと思い悩む。
先生に話があると言うと、「どうかしたのか」と心配そうにして、わたしを促して窓のそばのベンチに座らせる。
「皆の会話に付いていけないので、クラスを換えてもらいたい。」と言うと、
「授業の内容がわからないの。」
「いえ、テキストの問題はわかります。解けます。」
「わたしの言う事をどのくらい理解していますか。」
「70%は理解していると思いますが。」
「70%も理解していれば十分よ。実際、本当に理解している人は、あのクラスに一人しかいない。他の生徒は、わかっているふりをしているだけ。それから、あの人たちはペラペラしゃべっているけれど、ほとんど間違った英語を話しているのよ。自信を持てば大丈夫。それとも、ほんとうに下のクラスに行きたいですか。」と聞いた。
わたしは、先生が大丈夫と言うなら大丈夫かもしれないと自分に言いきかせた。せっかく上のクラスに入れてもらえたのだから、わざわざ下のクラスに行く必要もないかと考え直したのだ。「頑張ってみます」と答えた。それからも、授業がタフだったのに変わりはないが、先生に相談したことで、少しは気も楽になった。
つづく・・・
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