2013年8月13日火曜日

フィリップ・K・ディック





『ザップ・ガン』を読みました。フィリップ・K・ディック、大好きです。しかし、この本はずいぶん前に買ったもの。彼の本は好きなので、読む暇がなかったころも、見かけたら買うということを繰り返していて、暇になってから読み続けていますが、まだ10冊ほど残っています。



この『ザップ・ガン』のあとがきによりますと、彼自身はこの作品を「駄作」だと言っているようです。「前半は何が書かれているか理解できない」と自分自身で言っています。彼の作品をどうように評価するかはわからないけれど、いつも彼のアイディアには脱帽です。この本も、ほかの本と同様にペーパーバックの三文コミックの態です。が、物理学の知識は半端なく、造りだされた武器の数々にはワクワクしてしまいます。とりわけ彼が1928年生まれであること、書かれた年代が1960年から70年くらいである事を考えると…。ちなみに没年は1982年、53歳でした。彼の死亡記事が新聞に載ったのを覚えています。噂では薬物中毒ですが、一応病院で亡くなっています。



以前にも書いたと思いますが、現在、ガン治療で知られる重粒子線治療のことをもう1950年代に言及していました。しかしながら、この作品は1960年代に書かれたものであり、その近未来が2000年以降なので、今を生きている我々には、少々難ありです。いつもの如くエイリアンが攻めてくるのですが、それが2004年のこと。彼の想像では、我々はもっと進歩しているはずだったのでしょう。それから、彼によると2004年の人口は約40億。未来志向も女性の権利問題には及ばなかったようで、女権拡張論者には少々憤りに駆られる表現も散見されます。



そういうことはさておいて、彼の作品はいろいろな人に影響を与えています。もちろんSF作家は言うに及ばず、現代哲学、特に映画界にとっては彼の存在はなくてはならないものでしょう。今まで映画化されたもの数え上げますと、『ブレードランナー』を筆頭に、『トータルリコール』、短編「追憶売ります」の映画化です。『バルジョーでいこう』、普通小説『戦争が終わり、世界の終わりが始まった』の映画化。『スクリーマーズ』、『マイノリティ・リポート』、『ペイチェック 消された記憶』。その他、長編『暗闇のスキャナー』の映画化。短編「ゴールデンマン」の映画化、マット・デイモン主演の『アジャストメント』 (2011)など、その数にはきりがありません。まだまだ、この先も映画化を予定されている作品は多々あります。





フィリップ・K・ディックのインタヴユーや伝記などを読むと、彼自身はメインストリームの小説を書きたかったようで、いつも出版社に頼んでいました。SFとメインストリームの接点を模索し続け、晩年にようやくいくつかの作品を書き上げました。しかし、わたしにとっては、そんなことはどうでもいいです。彼の作品は例え三文ペーパーコミックのようでも、内容は哲学あり、心理学あり、物理学あり・・・と、わたしは思っております。





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