2013年8月13日火曜日

言語と経済





英会話の先生と「グロービッシュ」について話した。今の世の中、英語ネイティヴの人同士よりノンネイティヴ同士の人の方がより多く英語を話している。ならば、何故英語の文法や発音その他を忠実に再現しなければいけないのか。適当にわかるくらいの英語を話していればいいのではないかという発想だ。グロービッシュはそんな中で、英語を基にしたインターナショナルな言語を作り出そうというもの。世界的な機構を作り上げている。単語は1500語とその派生語だけ。文も短く15語以内に抑える。一年で習得可能と謳っている。



これはいわゆる言語ではなく、話すための道具だ。文化とかは無縁の物だ。故に、ビジネスの世界だけの話。英語ネイティヴはインターナショナルな英語の「既得権」をなかなか放そうとしないが、英語のほかに文化に関連しない言語ができることは彼等にとってもとてもいい事だと思う。つまり、訳のわからない英語を使われて英語圏の文化が破壊されていくのを防ぐ事ができるからだ。我々も、「英語の勉強」という物をする時、「文化としての英語を学ぶ」のと、「単なるコミュニケーションとしての手段」としての英語を学ぶのとの混同から解放される。さらに、イギリス文化を学びたければイギリス英語を学べばいいし、アメリカならアメリカ英語だ。もちろんその他いろいろな国の「英語」しかり。そこの混乱からも解放される。





そもそも英語がこれまでインターナショナルになった背景にはやはり経済が関連していると思う。ヨーロッパでは近世までフランス語がハイソサエティーの言語だった。ロシアでも貴族間ではフランス語が話されていた。わたしの思い込みでは、一番最初に産業革命を成し遂げたイギリス、そしてその言語である英語の力の増大。そして新大陸アメリカ。第二次世界大戦後は、ただ一人、アメリカだけがそのパワーの余力を保っていた。それからがアメリカの独り舞台となる。



そこでおもしろい記事を見つけた。「ポルトガル―――旧植民地にぶら下がる道」だ。ブラジルはポルトガルの旧植民地で同じポルトガル語を話しているが、単語のつづりや発音などかなり違うらしい。そこで、ポルトガル政府が「標準ポルトガル語」を設定した。新聞や教科書でも使われるらしい。これは、実際にはポルトガル語をブラジルで使われているポルトガル語に近づけるものである。つまり立場が逆転したという事。経済力のせいだ。



この言葉を政治的に作り変えるという事に意義を唱えている人たちもいる。英国と米国がつづりの違う単語を統一するなどありえないと、彼等は主張している。しかし、どんどん重要な国になっていくブラジルに乗り遅れないように付いて行く事が、ポルトガルの生き残るひとつの道だという事も事実。現在、ポルトガルからブラジルに移民している人たちが増えてきている。彼等はブラジル社会に溶け込む事ができるように、ブラジル風に言葉を変える事も妥協しなければならないと感じている。彼等の子供たちが「ブラジル語」を話すようになる事もしかたがないと。





ポルトガルの例ばかりでなく、主要国と呼ばれている国の経済の低調ぶりが垣間見られる昨今だ。経済成長が目覚ましい新興国の助けを借りなければ多くの先進国も経済の成長を保っていけない状況にある。「グロービッシュ」だ、なんだかんだと言っている間に、世の中、自然に変わっていくのかもしれないな・・・と思う。







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