先日、本棚を整理していたら昔買った本で、まだ読んでいないもの見つけた。それが驚いたことに、昭和四十六年出版だった。『禅と精神分析』、鈴木大拙、E・フロム、R・デマルティーノのメキシコでのワークショップでの講演の本『ZEN BUDDHISM AND PSYCHOANALYSIS』の翻訳である。
以前、鈴木大拙の「禅」に関する著書に夢中になって、二三買い漁ったが、わたしの身近にすでに彼は存在していたのだ。なにか、若い時の「わたし」から現在へのわたしにタイムマシンで送られたプレゼントのような気がした。
この本は多分わたしが高校生か大学生の時に買ったものである。と言うのもその頃のわたしは心理学に興味があり、大学の専攻も心理学にしようと目論んでいたからだ。だがその時は、何が書いてあるかさっぱりわからず、一頁も読まずじまいに本棚の片隅に追いやられていたのであろう。なんのかんの言っても少しは経験を積んできた今の私は、読んでみるとすんなり心に滲みてきた。
大成功!
というのは、このように以前買って全然手をつけていない本が、実はいっぱいあるからだ。特に、三十代の時は本を読む暇もなく日々の生活に追われていた。それでも読みたい本だけは買っておいて、その言い訳は「老後の楽しみ」だった。その果実が今摘み取られようとしている。大袈裟!
ともかく、昔のわたしが何を考えていたのかをしみじみと感じる歳になってしまったのね。
0 件のコメント:
コメントを投稿