2016年6月19日日曜日

『アンティゴネ』 ブレヒト


ソフォクレスが書いたギリシャ悲劇をドイツのヘルダーリンが翻訳し、ブレヒトが舞台用に改作したものです。戯曲です。1948年に上演されました。しかし、わたしが購入した文庫本は、2015年8月20日に初版本として出版されたものです。

 

最近、囲碁に夢中でなかなか他の事が出来ないのです。囲碁の本を読んでいると、それなりに頭は使うし、論理的思考は満たされますが、情緒的には満たされません。なんだかどんどん鬱屈していくので、「そうだ、何か小説を読もう。」と…、これは戯曲ですが、戯曲ゆえに早く読めそうと。

 

ブレヒトは、わたしの青春時代のヒーローです。その頃「ブレヒトの異化」ということが流行っていました。それまでの舞台演出は、「アリストテレス的演劇」つまりルネッサンスの時期から始まった西欧の演劇が主流でした。観客は観劇する時、その内容と同化し感動し情緒的に満たされと言う構造です。ブレヒトはそれを嫌い、「異化」、つまり劇と観客が同化しないことを望みました。観客は劇に感情を翻弄されるのではなく、客観的に劇と対峙し、その内容を把握し、自分の意見を述べる事、考える事を要求されるのです。

 
 
 

 

というような事を『アンティゴネ』を読み終わってから、つらつら考えました。わたしも少し満たされた気分です。

 

アンティゴネは、オイディプスの娘です。オイディプスが自らの母親とそうとは知らずに交わったための子どもです。ソフォクレスは、その呪われた子どもたちまたは一族の話を書き連ねています。以前『オイディプスの謎』という本を読みました。ギリシャ悲劇『オイディプス』についての研究書みたいなものです。とても興味深い内容だったので、この『アンティゴネ』を読んでみようとも思ったのでした。ブレヒトに対する興味とともに。









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