2015年6月23日火曜日

『百歳の力』あるいは『一〇三歳になってわかったこと』 篠田桃紅著


『百歳の力』は、数えで103歳になる篠田桃紅さんの自伝で、最近販売部数10万部を突破した話題の一冊です。度々新聞の広告で目にしていました。わたしは「自叙伝」なるものは基本的に好きではありません。他人の人生に興味がないからです。同様にノンフィクションの探検モノや回顧録等も好きではないです。ですから、この本を買う気は全くありません。

 

が、なぜここで取り上げたかというと、朝日新聞の書評欄の「著者に会いたい」というコーナーで彼女のことが書かれていたのを読んだからです。わたしの彼女に対する知識は、この記事で書かれていることのみですが、興味深いものでした。

 

もうひとつは、次回の英語トピックのクラスで話すのに丁度よいかなと。と言うのは前回の英語ブック・クラブでわたしが取り上げた本『The Dwarf』が皆さんの不快・不興をかったようなので、今回はもっと「ハートウォーミング」な話題にしようと考えたからです。しかし、篠田桃紅さんは世界的な画家。アーティストがハートウォーミングな訳はありません。やはり、ハードな方向に行っちゃうかも。「心あたたまる」お話はどうしてもわたしの性に合わないということでしょうか。

 




 

篠田桃紅さんは1913年、大正2年生まれです。102歳になる今も絵筆を取って美術家として創作に励んでいます。信じられない事ですね。彼女は文筆家としても評価を得ているようで、数冊のエッセイ集が出版されています。1979- 随筆集『墨いろ』で第27回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞しています。朝日新聞の書評欄で取り上げられているのは、『一〇三歳になってわかったこと―― 人生は一人でも面白い』幻冬舎、20154月刊です。

 

この本は、歳を経た人のエッセイにありがちな「老成とか悟り」が書かれているのではなく、百歳にしてまだ達観できない彼女の若々しさが溢れているようです。この辺りが凄いですね。妙に悟って「うんちく」を語る人が多い中で。

 

「生きている限り、前とは別のものができる。この歳になってできることはある。昨日と今日は違うんですから」が、彼女の言。

 

幼少期から書道を嗜んでいましたがお手本の決まり通りに書くことができず、「わがままな子だと」言われ続けてきました。彼女は、「わたしははじめから、この線はお手本よりもう少し長く引きたいというところがあった。決まりの通りにすることが性に合わなかった。」と語っています。また、「お手本通りすることなど朝飯前ですが、それではつまらない。お手本をまねするのは複製を作ること。アートでは、まねしたものは偽物です。」とも。

 

人生でも歳を取ることは「クリエート」する事だと言います。人生にはお手本がありません。自分で考えて自分の人生を創造していかなければいけないからです。記者が「生きているかぎり人生は未完」と書いているが、完成に近づいている実感はあるのでしょうかと問うています。彼女の答えは、「人として何が完成なのかわかりません。この辺かなと思って辿り着いても、また先がみえます。」というもの。

 

この先が「みえる」というところが、またまた凄いです。「先はわからない」ではなく、進むべき道がちゃんと彼女の心の中に存在しているという事ですから。

 

 

ウィキペディアによりますと、こんな風です。

 

篠田 桃紅(しのだ とうこう、本名:篠田 満洲子1913年(大正2年)328日)は、日本の美術家。映画監督の篠田正浩は従弟にあたる。

日本の租借地だった関東州大連に生まれる。5歳頃から父に書の手ほどきを受ける。その後、女学校時代以外はほとんど独学で書を学ぶ。1950年から数年、書道芸術院に所属して前衛書の作家たちと交流を持つが、1956年に渡米。抽象表現主義絵画が全盛期のニューヨークで、作品を制作する。文字の決まり事を離れた新しい墨の造形を試み、その作品は水墨の抽象画=墨象と呼ばれる。アメリカ滞在中、数回の個展を開き高い評価を得るが、乾いた気候が水墨に向かないと悟り、帰国。以後日本で制作し、各国で作品を発表している。

 

一部抜粋です。






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2015年6月20日土曜日

『The Dwarf』後日談+予告


The Dwarf』の英語クラスが無事終了いたしました。しかしながらやはりこの短編は皆さんには受けませんでした。理解不能の御様子。さらに御不快な御様子でした。彼女たちは、ハッピーエンドのお話しか読みたくないのです。ところがこの私は、ハッピーエンドのお話が大嫌いです。幸せなお話なんて、メチャ単純でしょう。また、不幸があるから幸福が存在するのであって、「幸福」は単独では存在し得ませんよ。つまり、幸福ばかりの人生なんてあり得ないという事です。

 

クラスのひとりは、どんな話でも「性愛」に関連付けます。男が女に会ったら、あるいは逆でも、彼女はすぐに恋愛関係だと決めつけます。今回の『The Dwarf』でも、エイミーがラルフに促されてドワーフを見るのですが、彼女は「エイミーはドワーフに恋したんだ。」って言うのです。また、ドワーフの方も、チケット売り場のカウンターで、彼は、彼女を見上げるのですが、「ドワーフはこれが初恋なんだね。」って言うのです。わたしは、いつも自分の小さなアパートの一室に閉じ籠もっているドワーフが、彼にとっては巨人のような彼女を見上げた時は、恐れ慄いたと思います。「scared」ですね。

 

ドワーフが書いた小説をエイミーがラルフに読んで聞かせる場面があります。小説の主人公は、またドワーフなのです。彼がどのような惨めな状況にあって殺人者にならなければいけなかったかの経緯が書かれているところですが、

 

“I am a dwarf and I am a murderer. The two things cannot be separated. One is the cause of the other.

“The man I murdered used to stop me on the street when I was twenty-one, pick me up in his arms, kiss my brow, croon wildly to me, sing Rock-a-bye Baby, haul me into meat markets, toss me on the scales and cry, “Watch it. Don’t weigh your thumb, there, butcher!”

“Do you see how our lives moved toward murder? This fool, this persecutor of mu flesh and soul! ―――

 

このドワーフの感情の爆発に、彼女は、「ドワーフはゲイなんだね。男とキスしてる。」って。これには先生もずっこけました。

 

この先生までも、ラルフが鏡の位置を変えて、ドワーフを恐怖のどん底に陥れたのは、彼が退屈していたからだと言うのです。「お客が誰も来ないから退屈しのぎにいたずらしたんだ。」って。わたしもずっこけました。また、皆さんは「この作家はなんでこんな小説を書いたんだ。」って言うのです。意味がないって。先生もです。

で、このように言いました。

I think it includes three points.
There are people who make fun of weak people.
And, there are people who try to help weak people. But it doesn't work.
The last, there are people who are always always tormented.  They are like a scapegoat to meke other people happy.
 
皆さんが同意されたかどうかはわかりません。でも、「心を広く持って、決して傲慢になってはいけない」というのが、今日この頃のわたしの戒め。「わたしの意見がいつも正しいとは限らない。ひとはそれぞれ意見を持つ権利がある。わたしの意見がスタンダードではない。」と唱えつつ、クラスを無事終えました。

 




 

話は変わって、つい2~3日前小説を読み終えました。『蝿の王』です。ピンチャー・マーティン作。わたしはこの本を1977年に買いました。彼は、イギリス人ですがアメリカでこの本がベストセラーになりました。サリンジャーの二代目という位置づけです。つまり、青春時代に誰でも読む小説という意味。アメリカの大学生は皆この本を抱えてキャンパスを歩き回っているという触れ込み。ミーハーなわたしは、即飛びついたのでした。その頃ちゃんと終わりまで読んだかどうか定かではありませんが、今回は読み通しました。興味深かったです。また、機会があれば感想をUPしたいと思います。

 

もうひとつ、昨日買った本のこと。『骨が語る日本人の歴史』です。歴史学者の中では、古代日本には縄文人と弥生人がいたというのが定説です。著者は骨考古学者の片山一道さん。彼は、発掘された骨をもとに研究し「日本には縄文人とか弥生人とかいう人はいなかった」と言っています。そこに興味を魅かれてこの本を買いました。が、まだ読んでいません。目次だけチラチラと眺めました。とてもおもしろそう。

 

最後の方に『「司馬史観」に物申す』という項目があります。司馬遼太郎を尊敬している我が兄と一戦交えそうな予感がする。というか、彼に逆らう手段が一つ増えそう……。
 
(屈折してるネ)







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2015年6月13日土曜日

『The Dwarf』 written by Ray Bradbury


次回の英語ブック・クラブは、わたしの当番で、レイ・ブラッドベリの短編集『The October Country(十月はたそがれの国)』から『THE DWARF』を選びました。10ページ前後の作品を選択しなければいけないので結構たいへんです。彼の短編を選んだのは二回目ですが、その予告を先回したところ生徒の皆さんは彼の名前を覚えていませんでした。FANTASYは、皆さんの性に合わないようです。が、わたしはめげずにやり抜きますよ。

 

レイ・ブラッドベリはアメリカの作家です。一番有名な作品は、たぶん『華氏四五一度』と思います。映画でご存知の方も多いでしょう。アメリカTVドラマシリーズの『トワイライト・ゾーン』にもたくさんの作品を提供しています。わたしは、『火星年代記 Martian  Chronicles』が一番好きです。彼は、この作品をSFではなくファンタジーだと言っています。Greek Mythであると。

 

That’s the reason it’s going to be around a long time---because it’s a Greek Myth, and myths have staying power.

 

彼は、つい最近亡くなりました。朝日新聞にもその訃報が紹介されました。

 

Bradbury died in Los Angeles, California, on June 5, 2012, at age of 91, after a lengthy illness.

 

彼の訃報は、ニューヨーク・タイムスやロサンジェルス・タイムス、ワシントンポスト紙でも掲載され、彼の業績を称えました。オバマ大統領も彼の栄誉を称え、ステイトメントを発信しました。その一部です。

 

There is no doubt that Ray will continue to inspire many more generations with his writing, and our thoughts and prayers are with his family and friends.

 

その他、スティーヴ・スピルバーグやスティーヴ・キングなどの著名人も哀悼の辞を述べました。

 

Several celebrity fans of Bradbury paid tribute to the author by sating the influence of his works on their own careers and creations.

 




 

前置きが長くなってしまいました。さて、『ドワーフ』に関してです。ブラッドベリは、カーニバルを好んで彼の作品使いました。移動遊園地とでも言うのでしょうか。昔は、遊園地が各地を回遊していました。日常生活に突如現れるカーニバル、そんな怪しげな空間でこどもたちは浮かれ騒ぎ、家に帰ることも忘れ、幻の世界から戻れなくなってしまう…、現実世界から消え去ってしまうのです。そんなカーニバルがこのお話の舞台です。

 

主要な登場人物は三人。一人はAIMEE。このカーニバルで木製の輪投げを使う女曲芸師のようです。もう一人は、鏡の迷路を運営している男性、Ralph Banghart。そして最後にドワーフ。この鏡の迷路に毎晩通って来るお客の小人です。

 

Aimee moved slowly across the stand, a few worn wooden hoopla rings sticking to her wet hands.  She stopped behind the ticket booth that fronted the MIRROE MAZE.  She saw herself grossly misrepresented in three rippled mirrors outside the Maze.  A thousand tired replicas of herself dissolved in the corridor beyond, hot images among so much clear coolness.

 

She stepped inside the ticket booth and stood looking a long while at Ralph Banghart’s thin neck.  He clenched an unlit cigar between his long uneven yellow teeth as he laid out a battered game of solitaire on the ticket shelf.

 

彼と彼女は恋人同士ではなさそうです。彼女は話相手欲しさに彼のチケットブースを訪ねているようす。でも、彼の方は何かと彼女をデートに誘いたい雰囲気。この日も二人でとりとめもない会話をしているとドワーフ(これは今差別用語ですが、この話が書かれた時代にはそうでもなかったようです。)がやってきます。

 

ラルフは鏡の迷路の部屋に秘密の覗き穴を持っています。ドワーフがいつものようにチケットを買って迷路に入っていくと、彼はエイミーにドワーフの様子を覗き見るように勧めます。

 

The Dwarf’s hand, hairy and dark, appeared all by itself reaching up into the booth window with a silver dime.  An invisible person called, “One!! In a high, child’s voice.

 

---Ralph squeezed Aimee along a dark passage behind the mirrors.  She felt him pat her all the way back through the tunnel to a thin partition with a peekhole.

 

その秘密の穴から彼女が覗いた光景はとても滑稽なもの。ドワーフは、目を閉じて自分の行きたい場所まで辿り着くと、目を開けます。その部屋は、すべてのものを大きく映し出す鏡の部屋です。そこで彼は、ひとりステップをふんだり、爪先で旋回したりして自分の姿に眺め入ります。

 

ラルフはこの光景を”rich”と表現しました。つまり、ドワーフの滑稽な姿を覗き見て悦に入っているのです。しかし、彼女は違います。二人がもとのチケットブースに戻った時には、気まずい雰囲気が漂います。

 

Aimee turned her head and looked at Ralph steadily out of her motionless face, for a long time, and she said nothing.  Then, as if she could not help herself, she moved her head slowly and very slowly back to stare once more through the opening.  She held her breath.  She felt her eyes begin to water.

 

彼女はドワーフが見入っていた鏡の値段を尋ねます。中古の鏡を彼に譲ってやってはどうかと。そうしたら彼は、自分のアパートメントの部屋で一人で充分に楽しめる。ラルフのような男から毎晩チケットを購入する必要もなくなるのだと。ラルフは、そんなお金が彼にあるはずがないと。ドワーフがどうやってお金を稼ぐのか。こんなカーニバルの見世物小屋で曲芸をする以外には無理だと。それでも彼女は鏡を購入できるお店の名前と金額をラルフから聞きだします。わたしが、電話で注文して彼のアパートに届けてもらうと。そんな馬鹿げたことはやめろとラルフは言います。俺の稼ぎがなくなるじゃないかと。

 

数日後の暑い夜、エイミーは再びラルフを訪ねます。その様子を見てラルフは、「ご機嫌じゃないか。」と。エイミーはドワーフが何をしているか探りあてたのです。彼は作家でした。三流パルプマガジンの探偵小説ですが。しかし、彼女は言います。彼の小説が掲載されている雑誌を古本屋で手に入れたけど、彼には素晴らしい才能がある。あなたやわたしとは違う大きな魂が彼の身体に宿っているのだと。

 

“This little guy’s got a soul as big as all outdoors; he’s got everything in his head!”

 

彼は自分の才能が信じられない。だから、三流誌で書いている。あるいは、世間に出ることを恐れているのだ。そして、彼女が手に入れた彼の作を読みあげます。そこには彼の生い立ちと、なぜ彼が殺し屋になったかのストーリーが綴られていました。その作品の主人公はドワーフで殺し屋だったのです。

 

I am a dwarf and I am a murderer. The two things cannot be separated. One is cause of the other.

 

Do you see how our lives moved toward murder? This fool, this persecutor of my flesh and soul!

 

ラルフはドワーフの事はほっておけと言います。しかし、エイミーは彼の存在を無視できません。

 

また、エイミーはラルフを訪ねます。彼女は、中古の鏡を注文して彼の部屋に届けてもらう事を決めた。明日にも鏡が彼のもとに届くでしょう。だから、今日が彼がここに来る最後の夜になるのだと。それを聞いたラルフは、なんて馬鹿げたことをしたんだと言います。二人の間には沈黙が流れますが、ラルフが、「ちょっとブースの留守番をしてくれ。」と言って鏡の迷路の通路に入って行きました。彼女はラルフが何をするのかわからず「いいわよ。」とブースの留守番を引き受けます。

 

なにかゴソゴソと音がして、ラルフがブースに戻って来ました。彼は上機嫌になっていました。そこにドワーフが現われます。ラルフは、今日は記念日なのでお代はいらないと言います。ドワーフは驚きますが、ブツブツとお礼を言って、持ってきたダイムを握りしめていつものように迷路に入って行きました。ラルフは「さあ、おもしろいことが始まるぞ!」とニヤニヤ。すると、迷路からドワーフの悲鳴が。

 

“Ralph,” she said.

”Sh,” he said. ”Listen.”

They waited in the booth in the long warm silence.

Then, a long way off, muffled, there was a scream.

”Ralph!” said Aimee.

”Listen,listen!” he said.

 

悲鳴は何度も何度も起り通路に木魂しました。そして、泣き叫ぶ声とともにドワーフが走り出ると岬の方に駆け出していきます。

 

”Ralph, what happened?”

Ralph sat laughing and slapping at his thighs.

She slapped his face. “What’d you do?”

He didn’t quite stop laughing. “Come on! I’ll show you!”

 

二人は迷路を進みました。ドワーフがいつも目を開ける部屋に来ると、鏡が取り替えてあったのでした。二人の姿は歪んで小さく小さく映っていたのでした。ドワーフの姿はいったいどんなだったのでしょう。彼女は振り返ってラルフを見ると、そこには彼の姿が、

 

A horrid, ugly little man, two feet high, with a pale squashed face under an ancient straw hat, scowled back at him.  Ralph stood there glaring at himself, his hands at his sides.

 

ドワーフは、シューティング・ギャラリーから銃を奪って岬の方に走って行きました。エイミーは「すべてわたしのせいだ。鏡など彼に送らなければよかった。」と、ドワーフの後を追いかけて走りだします。

 

最後のセンテンスです。

 

Aimee walked slowly and then began to walk fast and then began to run. She ran down the empty pier and the wind blew warm and it blew large drops of hot rain out of the sky on her all the time she was running.

 

 

 

どうでしょうか。ラルフの残虐さがひとりの殺人者を生みだしてしまったのでしょうか。

 

I am a dwarf and I am a murderer. The two things cannot be separated. One is cause of the other.

 

Do you see how our lives moved toward murder? This fool, this persecutor of my flesh and soul!






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2015年6月11日木曜日

英語<トピック>クラス


英語クラスは月2回開催されます。ひとつがブック・クラブらしきもの、もうひとつがトピック・クラスです。トピック・クラスは生徒三人がそれぞれトピックを持ちより討論します。討論とは大袈裟ですね。お話合いをします。取り立ててルールはないので、好きなように話していましたが、先回、一人の生徒が、一人が話すのは5分にして10分で意見を言い合いましょうと提案しました。三人で合計45分間。60分授業なのであとの15分間は「なんやかんや」です。

 

と言うのは、わたしともう一人が話し過ぎるからでしょう。15分間プレゼンしちゃうので、お話する時間がないと思ったのでしょうか。5分間で話をまとめるのは結構大変です。前回のわたしのトピックは、ここにUPした『わたしは、ずうっと怒っているのダ!』でした。あれだけの事を言うのには、15分は掛かりますが、先回突然そう言われたので、なんとか縮めたのですが、途中で「もう6分過ぎたよ。」というチェックが入ったので、結論が少し変わってしまいました。

 



 

次回はたぶん今月末に開催されます。今回は『HALとメカ・アスリート』のお話をしたいです。が、こんな話題は一般受けしないだろうと思います。しかし、先回のもう一人の生徒の話題が、『3Dプリンタで造られた義手』だったのでわたしのトピックも「イイかもしれない」と。

 

彼女のトピックは、アメリカの話です。手足がないまま生まれついたこどもたちの話で、子どもゆえに何回も義手を造り直さなければいけない、そして価格も高すぎる。そこで、NPOが3Dプリンタで義手を試しに造ったところ、日本円6000円くらいで製作でき、かつ軽くて機能的だったとのこと。実際には4万ドルかかるとか。経済的にも恵まれない子供たちには朗報でした。

 

 

わたしのトピック、『HALとメカ・アスリート』のHALはここでUPしたトピックの「HAL」です。筑波大教授の山海氏が発明したロボットスーツです。ヨーロッパでは、医療用器具として承認されましたが、日本ではまだです。「折角の日本の発明なのに何故か」という憤慨。安部内閣は、「5月に法案を通し日本でも医療用器具として認める」としていましたが、未だにニュースで見ません。集団自衛権で忙しいのでしょうかね。

 

Dプリンタの義手といいHALといい、技術の進歩には止めどがありません。最近のパラリンピックの様子を考えても、人間が生まれながらに授かった手足より、最新テクノロジーで製作された「手足」の方が、記録を出せるようになるのは必然の様相です。誰だか覚えていませんが、そして100メートル走、200メートル走あるいは400メートル走かも覚えていませんが、ある義肢を付けた選手がパラリンピックではなくオリンピックで勝負したいと言っていました。そんな世界はすぐ目の前にありそうです。

 

最近「障害者スポーツをビジネスにする」という記事を読みました。伊藤数子さん(52歳)は、NPO法人「STAND」を立ち上げ障害者スポーツをインターネット中継する試みを始めました。福祉ではなくビジネスとして立ち上げれば、障害者自身の経済的・心的支援にもなるという意図のようです。「障害者をさらしものにするのか」という批判も聞くそうですが、競技自体に迫力があり魅力的なのでスポンサーになる企業も出現し事業収入は増えています。が、まだまだ赤字で採算は取れていない状況のようです。

 

正常な(どう表現していいか言葉が見つからないのでこう書きました)身体をもつアスリートたちの中にも、科学技術を駆使したメカ義手・義足を付けた選手を「不公平だ」という意見もあります。生身の人間が、最新メカに勝てるはずがありませんからね。こうなってくると、なんの異常なところがなくともメカ義手・義足を装着するアスリートが出現することは予想できます。自分の心身に異常をきたしてもドーピングを選ぶ選手たちがいるという事実……、彼らは「より高くより早く」目指しているのですから。

 

 

わたしは予言します。近い将来こうなるって。ヒトは機械の身体を目指すのです。SF小説の読み過ぎでしょうかあ。。。






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2015年6月6日土曜日

「友達」―― 後日談


6月1日にやって来た友達は5日に上海に帰って行きました。わたしが彼らと夕食を共にしたのが1日と4日。彼らは、2日には高山の温泉へ一泊旅行。4日には病院に例の注射を打ちに行きました。それなりに楽しかったようです。

 

友達は、「友達と3人で来る」とメールに書いてきたので、わたしはすっかり女性が3人来るものと思っておりましたところ、そのうちの一人は男性でした。わたしは、せっかく名古屋に来てくれたんだからと、プレゼントを買っていきました。が、女性と思いこんでいたので当然女性向きのものを用意していたのです。

 

ホテルのロビーで会って、一人が男性であったことにビックリ。

 

「え~~~、友達って女性だと思っていた~。」と彼女に言うと、

「あの人女性ネ。」って。

「うそお~!」

「男性だけど心は女性よ。」

「え~~~、でも大丈夫だよね。日本語通じないよね。わたしが言ったこと理解してないよね。」と言うと、

「大丈夫、大丈夫。彼とはスイスで会った。ツアーのガイドさんよ。彼は英語は話せるよ。英語で会話できるでしょ。」って。

 

へえ~、スイス旅行のガイドさんと友達になったのかあ、相変らずのイージーゴーイングだねえ、と思ったら、そうだそのおかげでわたしも彼女の友達になったんだって、思い至りました。

 

「○○さん(わたしの名前)、○○さ~ん。I miss you!!! さびしいね~。」と。わたしが、先にイギリスから帰国したので、彼女はこんなメールをわたしに寄こしました。「わたしもこんなイギリス、早く立って名古屋に行くよ~。」と言って、来ませんでしたが。それで、上海に遊びにおいでというメールをもらい、ホイホイと行ったら、そのまま2年も居着いちゃった…、と言うことです。くわばらくわばら。

 

もう一人の女性の友達は、彼女の夫の「超お金持ち」の友人の奥様だそうです。「彼女は買い物目的ネ。高い物いっぱい買うよ。中国人何でも買うからネ!」と言う事だそうです。

 
 

 

その3人の名古屋訪問の目的は、何と言っても「注射」です。わたしとお食事をした日の3時過ぎに病院に行きました。受付時間のギリギリに行ったようで、間に合ってよかったと。その注射は、液がドロドロで針の穴が小さいと液体が流れないので、大きな針だったよう。麻酔を打って注射したとか。「注射2回分、痛かったネ」と、わたし。

 

「先生オモシロイ人だったよ。この注射は肌が綺麗になるけど太るかもしれない、って。5人に4人は綺麗になるが、5人に1人は太ると言ったよ。」です。どうも、この注射は続けて打たないと効果がないようで、2~3カ月に1回打つ必要があります。

 

「それでどうするの。注射のために飛行機で名古屋まで2~3カ月に一回来るの。」と聞くと、

「来るよ。飛行機代安くなっているし、5年のビザを取ったからね。あの二人はもう次に名古屋にいつ来る相談してるネ。」

と言うことです。

 

それで彼に、

 

You should live in NAGOYA. と言ってやりました。

 

 

こんな後日談でした……。

 






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2015年6月4日木曜日

上海から友達が来た。


何度も書いておりますが、2003年から2005年の間、上海に住んでいました。そのきっかけとなったのが彼女です。その前年、2002年にイギリスで知り合いました。上海では、彼女といっしょに商売をしていたのです。その間の経緯とか上海での辛い生活は他の所でも書いておりますので割愛させていただくという事で……、とにかく友達がやって来ました。

 

実は3年ほど前にも一度名古屋に来ています。その時は、日本政府の政策が「中国人に日本に来てもらうためビザ発行の条件を緩和する」というものでした。そしてもうひとつ、必ず沖縄に滞在して、それから自分の好みの場所に行くという条件付き。これは、沖縄に対する経済対策の一環だったようです。が、今回は直接名古屋に来れたよう。海外旅行にビザが要るというのは、少々メンドクサイことですね。日本人(日本国籍)は、だいたいの国で3ヶ月間はビザなしで行けるので助かります。

 

という訳で、一回目の彼女からの連絡は、6月1日から5日まで名古屋に行くけど、「今、ビザ待ち」というものでした。それでわたしは、「オオッ!いきなりかよ」という感じ。と言うのは、この1~2年間全然連絡がなかったからです。いつもは、年賀状メールは来ていたのですが、それもなし。こちらからメールしても返事無しという状態でした。日中の関係がおかしくなってから、中国からのメールが届かなくなったという「うわさ」も聞いていましたので、「誰かがじゃましているのかしら」なんて思ったりもしましたが、単なる彼女の気紛れのようです。

 

彼女は友達ですからそのくらいの事は許しましょう。彼女はとても頭が良く、考え方も柔軟な人です。でも、当然文化の違いがあり、「ムッカ」と来ることもありますが、彼女の方も同様でしょう。それから少々ずる賢いところもありますが、許せる範囲のたわいないものです。例えば、「こちらの方が近道だからこちらの道を行こう。」と言うので付いて行くと、実は自分の行きたい店があった…と言うようなことです。

 



 

さて、今回メールを受け取って、さあたいへん、自分のスケジュールを全部キャンセルして、彼女の接待をしよう……と。前回はそうしました。で、空港まで迎えに行くから日程を知らせてとメールすると、今回は友達と3人で行くから迎えはよいとの返事です。わたしのテンションは一気に下降。なんだ、友達と一緒に来るなら全日程付き合わなくてもいいかと。中国人同士3人で、いろいろなところも行きたいだろうとも思いましたから。

 

空港には迎えに行きませんでしたが、その日の夕方5時半にホテルのロビーで待ち合わせて夕食を一緒にすることになりました。考えたら、上海から名古屋まで約2時間半ですから、近いものです。先回は、日本食は食べない、洋食も食べない、で、何を食べるのっていう感じでしたが、今回は名古屋名物を食べると言いました。とにかくホテルの近くの居酒屋へ。それから、彼らは日本酒だのみそ汁だの、名古屋飯の味噌カツや手羽先、どて煮、お茶漬けまで頼みましたよ。全部美味しいと言ってくれました。でも、もうひとつの目的は、そのPHOTOをネットにUPすることだったみたいです。その場でUPして見せてくれました。中国版フェイスブックのようなサイトだそうです。

 

わたしは、「なん~~~にもない名古屋に来てくれてありがとう」という気分でしたが、彼女は「名古屋に来たのにひとつ秘密アリマス。」とのこと。それは、なんと注射です。ネットで調べたら、名古屋に有名な病院があるとか。彼女の説明によるとどうもプラセンタのようです。「一回7000円。安いよ。」って。お肌とか髪とか更年期障害にもイイね、って。なんだ、またヤラレタ!

 

 

と言う訳で、今日6時に待ち合わせ。名古屋最後の夕食を共にします。今から出かけます。

 

チャオ!





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