2019年7月28日日曜日

久しぶりに推理小説の話です。










THE INTERPRETER---SUKI KIM







著者は、韓国系アメリカ人のスキ・キムです。しかし、彼女はアメリカで生まれたのではなく、韓国生まれで両親の移民とともに13歳の時にニューヨークにやってきました。この本に興味を引いたのは、先ずは推理小説ということ。そして、女性の作家で、主人公もまた女性と言うこと。もちろん、著者が韓国のアメリカ人ということもあります。



内容を少々、



この本の主人公SUZY PARKは、29歳です。PARKは朴ですよ。マルタで会った韓国人が朴さんでPARKと名乗っていました。



Suzy Park is a twenty-nine-year-old Korean American interpreter for the New York City court system.



つまり、アメリカの法廷で英語を話せない韓国人のために通訳をする仕事です。彼女の両親は、貧しさゆえにアメリカに移民としてやってきました。そして、グロサリー・ストアを営みます。勤勉で親切で近所の評判でしたが、5年前にお店に強盗が入り惨殺されます。その背後には、単なる強盗と言う以上の何かが隠されていると、スージーが法廷で通訳をしている過程でわかってきました。「なぜ両親は殺されなければいけなかったのか。」という疑問に突き動かされて、彼女は真相に迫っていきます。



もうひとつは、スージーの姉の存在。今は行方不明になっています。スージーは真相を知るために、先ずは姉の居所を探しはじめます。スージーがアメリカに来た時は、まだ小さかったので、家族の問題はすべて姉に頼っていました。両親は英語を話せなかったので、姉がなんでもかんでも、プライベートからビジネスのことまで、通訳を引き受けていたのです。つまり、ダークな部分をすべて引き受けていたと言うこと。スージーだけが、何も知らされず幸せな日々を送っていた……、さて、その裏側には何があるのか~~~、と言うことですね。言わない方が良いですね。








わたしが、この本を買って読んだのは、少々以前です。この本の初版は2003年と書いてありました。わたしは、2005年に上海から帰ってきたので、その後に読んだと思います。なぜ「いつ読んだか」にこだわるかと言いますと、その頃、韓国系アメリカ人のことがアメリカで問題になっていたからです。「問題」と言うと大袈裟ですが。その頃、アメリカの大学で「銃乱射事件」が起きて、犯人が韓国系アメリカ人の学生でした。彼は、スージーと同じく、韓国生まれだけれど両親が移民したことによりアメリカに来た、というシチュエーション。



彼らは「0.5世」と呼ばれます。1世は、韓国人だけれどアメリカで生まれた人たちです。0.5世は、連れられてアメリカに来た人たちです。自分の意思でアメリカに来たわけでもないのに、「韓国人」と言われて、回りから疎外されます。もちろん韓国人の問題ではなく、その他の国の0.5世も同じ精神的苦痛を味わっていますが。





THE INTERPRETER』の主人公スージーもその姉も、このような扱いの理不尽さの犠牲者です。推理小説としても面白いですが、彼女たちのアメリカでの状況が描かれている興味深い作品でした。




2019年7月22日月曜日

選挙・投票




先日参院選挙は終わりました。

選挙に投票するかどうかでした。……、投票しても何も変わらないという気持ちがあるからです。

考えて、

選挙って、宝くじと同じじゃないの?

買ったって、当たるはずはないけど、買わなければ当たらない。
選挙は、投票したって、何も変わらないけど、投票しなければ、また、何も変わらない。

で、当日どうしようかと。

でも、夜9時からの選挙速報をちゃんと見るためには、行った方が良いのでは。わたしも参加したという意識で、罪の意識なく見た方が良いんじゃないの、と。

で、行きました。まあ、散歩がてら、てな感じで。


う~~~ん、行ってよかった、って感じ。わたしの1票が、結果、何か、生きたような感じだったからです。もちろん、たいしたことない1票ですが。


世の中、また、転回期が来たか???




2019年7月21日日曜日

ホモ・サピエンスの歴史が変わるか?




先日の新聞記事です。「ギリシャでみつかった頭蓋骨化石が約21万年前のホモ・サピエンスものだった。」というもの。

「何故これが大変だあ!」となるかと言うと、

現生人類のホモ・サピエンスは約25万年前から30万年前にアフリカで誕生したと言われています。その後、アフリカを脱出できたのは、5~6万年前というのが定説です。15万~20万年前にアフリカを脱出したとも言われていますが、その時は、ネアンデルタール人に阻止されて、成功しなかったと。

もしこの発見が正しければ、ユーラシア大陸での最古のホモ・サピエンスという事になり、初期の我々がアフリカを出た時期の見直しを余儀なくされます。

この研究チームは、「従来考えられていたより古い時代に、さらに遠くまで現生人類がアフリカから出てきたことになる。」と結論付けました。

こうなると、今までわたしが読んできた本は、すべて(この事に関連しているものですが。でも、たいてい、人類は約6万年前にアフリカを脱出したことになっていて、かつ、そのことは人類の歴史にとってかなり重要です。)書き直されなくてはいけなくなります。

人類がアフリカを脱出した約6万年前より以前にその他の地域で存在していた人類は、亜人類となっていますが、その検証も必要になるのでは?と。また、21万年前にアフリカを脱出した人類と6万年前にアフリカを脱出した人類は、違う進化の過程を経たのかとか、いろいろ妄想が膨らみます。


まだまだ謎は一杯ですね。



2019年7月14日日曜日

心は、人間だけにある特権なのか。。。






『ダンゴムシに心はあるのか』


こんなタイトルの本を読みました。とても大胆なタイトルだと思います。そして「心」を定義してしまうところが、また、凄い。



「心はあるのか」と言うのは、わたしの永遠の大テーマです。人に心があるのなら、総てのものに心はあるし、ダンゴムシ(等々)に心がないのなら人にも心はない、というのがわたしのスタンスです。



「全てのものに心はある」と、わたしが言うと、人は「じゃあ、石は、岩は。」とか言います。つまり、無機物と人を同じ次元で考える事に我慢がならないのでしょう。ですが、この著者は「石の心」をまで肯定しています。そこまで認めるなら、わたしも著者の意見に大賛成です。



ジェラルミン板の心を捉える職人のエピソードが書かれています。ハンマーひとつでジェラルミンの板から形を叩き出そうとする職人の技です。わたしも職人の端くれとして材質と職人の「心」の探り合いの感覚はよくわかります。考えてみると石器時代に人類が石からそれを割ることによって「刃」を取り出したのも人類が「石の心」を知っていたという証拠かも(そんな非論理的な思考は現在否定されていますが。)。



実際、比較認知科学者である著者も実験には被実験者()とのコミュニケーションが大切だと述べています。その対象者とのコミュニケーション能力で実験者は対象の「予想外の行動」をただひたすら待ち、観察し、「心」を知ります。つまり、職人がその材質と向き合いコミュニケーションを図るかのように。








普通、下等な生き物には心なんてないとされています。それらの行動様式は刺激に対する機械的な反応であり、そのパターンは生得的な物であると。著者は、ダンゴムシにいろいろな「イジワル」を仕掛けます。迷路の中に置いたり、水が嫌いなダンゴムシを水路に囲まれた場所に置いてどうするかを観察する等々です。



著者は、そういう時にダンゴムシが普段とは違う行動をすることに、「ダンゴムシの心の存在」を見ています。実際、あるダンゴムシは、水が嫌いなのに脱出のために水路に飛び込みます。そして、その普段とは違う行動の中に「心」の作用が観察できるのだと。



この本での「心」の定義は、……生物は、「生き延びる」とか「繁栄する」とかの目的で生きています。そして、その目的に則った行動をすることが「正しい事」です。つまり、すべての行動に意味があります。しかし、時々意味のない行動もする。例えば、逆境に陥った時、有効性はなくてもやってみる。これが「心」であると、……わたしが理解した範囲で。



現在、AIの発達によって、ロボットに「心」はあるのか、機械に「心」はあるのか、と言った議論が活発になってきました。人間は物質で構成されています。目に見えない「精神」が物質に宿るわけはなく、酵素だとかフェロモンだとかの物質が分泌され、その時々の感情が決定されるのではないのか。



つまり、AIに「酵素」のような働きをするものをインプットすれば、ロボットも人と同じような「心(感情)」を持つことは可能ではないのかと思います。ダンゴムシにとっては、本能(生きる)に従わない行動。ロボットにとっては、論理的でない行動(論理的でない行動をランダムに取るという指令等か?)。



このような意味で、わたしは、「人には心はあるし、また『無い』」と思っています。





思考の翼をいろいろ広げてくれる本でありました。





2019年7月8日月曜日

とりあえず……書いてみる。




今朝、今年初めて、庭で蝉が鳴きだしました。まだ、梅雨明けではありませんが、賑やかな夏の到来となりそうです。


雨催い
ジム通う道
蝉の声


オ・ソ・マ・ツ・でした。