2020年12月19日土曜日

『母を訪ねて三千里』って、こういう事か。


 


  

『クオーレ』

 

英語の読書会で読んだ本です。 「読書会ってどうよ?」と思っていましたが、実際に皆が集まって、意見を言い合ったら、人それぞれに意見が違う事がわかりました。

 

この本の作者は、エドモンド・デ・アミーチスで( 1846 – 1908年)イタリア王国の作家です。イタリア統一100年祭なるものが日本でもブームになっていた事がありましたね。この作者が生きた時代は、統一される頃です。この事も読書会で指摘され、なるほどと思ったことでした。

 

彼もイタリア統一運動で、赤シャツ隊に志願したほどの愛国者でありました。14歳の時だったので、幼少として断わられたそうです。(年代は違いますが、ドイツのノーベル賞作家ギュンター・グラスが、ナチの年少隊に入っていたという事で問題になったことを思い出しました。)。

 

彼は子どもに愛国精神を培わせよと、子どもの教育用にこの本を書きました。日本でも、教育者三浦修吾が翻訳しています。子どもの頃に読んだ記憶がかすかにあります。三浦氏は『愛の学校』というサブタイトルを付けたそうですが、短編集で、その中のひとつが、日本でもアニメで有名になった『母を訪ねて三千里』です(原題『アペンニーノ山脈からアンデス山脈まで』)。この事も読書会で学んだ事のひとつです。

 

この新たに知った二つの事を踏まえて考え直したことは、そもそも「単純な子供向けのお話」何てものは存在しないのです(だって、実際には童話は残酷なものだと言うではありませんか)。この本も相当教条的だなと思います。だから、作者は本当に子どもに愛国心を植え付けるためだけにこの本を書いたのだろうかと疑ってしまいます。両極端は一致する…、などと申します。スーパー写実的に書かれた絵は、かえってシュールになると言ったような。作者にだけわかるアイロニーが込められていたのではないかと…、考え過ぎか。

 

 



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