2014年2月2日日曜日

プレゼンのためのストラクチャー

 

三題噺というのが落語であります。お客さんから「お題」を三つ頂いて、そのお題で一つの話をまとめ上げます。今回、英会話クラスでプレゼンが復活しました。それで、わたしもその手で行こうかなと。お客さんからの「お題」ではないので、ちょっとインチキですがねえ。

 

わたしの選んだ「お題」

 

1.『元気な高齢者、まだ働ける』新聞の読者投稿からです。

 

2.『寿命百歳以上の世界――20××年、仕事・家族・社会はこう変わる』以前もUPしましたが、ソニア・アリソンさんの著作です。(読んではいません。書評を見ただけ。)

 

3.『人工知能が雇用を奪う未来』最近の新聞記事です。

 

4.『STAP細胞』言わずと知れた、日本人女性科学者の快挙です。

 

5.『死の権利「安楽死のできる国」』オランダ、その他の安楽死が明文化された法律を持つ国々があります。

 

 

3題ではなく5題になってしまいましたが、このストラクチャーで話をまとめて行こうとの魂胆です。

 

『元気な高齢者、まだ働ける』は、66歳、パートで働いている方からの投稿です。定年退職して2年ほど、年金の目減り防止にと、パート勤務をしていらっしゃるようです。しかし、65歳以上で仕事を見つけるのは大変とのこと。年齢不問と求人広告に書かれていても、実際は65歳まで。「65歳以上でも元気で、働きたい意欲のある人は沢山います。これからも、ますます高齢者は増えて行きますから、企業は元気な高齢者を有効に活用し、雇用できることを忘れないでもらいたい。」と言うのが、彼の御意見です。

 

なんと日本人は真摯な事…とは、わたしの意見。わたしたちはいつまで働くの。いつ、労役から解放されるの。もちろん、「好きな仕事」なら話は別ですが。就職先を求めるより、豊かな老後を「政府」に求める方が、理にかなっていると思うけどな。

 

そこで、「お題」の2です。『寿命百歳以上の世界――20××年、仕事・家族・社会はこう変わる』。この本の著者は、近い将来の人類の平均寿命を150歳と予測しています。20世紀の前半までは、先進国の平均寿命が80歳になるとは夢にも思わなかった。だから、150歳という数字も現実性があるということ。彼女は、平均寿命が延びるとともに、健康寿命も延びるとしていますから、100歳になっても、まだ健康で元気に「働ける」と言うことですネ。今、日本での「健康寿命は70ウン歳」と言うことですから、150歳まで生きるとなると、何歳まで健康なんだろうか。現在、たいてい60歳定年なので、その倍(実質的には3倍弱か。)の120歳くらいまでは働かなければいけないのだろうか。なんとシンドイ話でしょうか。

 

そして、お題の3、『人工知能が雇用を奪う未来』。国立情報学研教授・新井紀子さんは、人工知能を東京大学に合格させるプロジェクトを推進中です。大手予備校の模試では、私大579校のうち403校で合格確率が80%以上になったそうです。東大はまだ圏外とか。しかし、数学などの問題では、受験生が回答できないような問いもスラスラとあっという間に解いてしまいます。このプロジェクトの狙いは、知的作業のうち何を機械にさせ何を人間がするのが効率的かを探ること。

 

彼女は、人工知能が「深い言語理解能力」を持った時、ほぼ全ての事務職が機械に置き換わるだろうと言っています。人間に残される「お仕事」は、機械化するには費用がかかり過ぎる「単純労働」だけ。接客業は単純労働とは言えませんが、税理士の仕事は機械が代替するが、居酒屋の店員は機械にはならないということです。

 

機械に仕事を奪われても、その構図がそう単純ではないので、人間としては、どこに怒りをぶつけるべきかわからない事態のようです。例えば、1980年代に職を追われたタイピストや電話交換手。失業したのが女性ばかりだったので大騒動にはならなかったが、男性たちは自分たちの雇用が危うくなって初めてその深刻さに気付くでしょう。職を追われた彼女たちは、自分が悪いからだと、すべて「自己責任」を問われたのでした。

 

どうですか、人間は150歳まで生きて、仕事を続けなければいけないが、その仕事も機械に奪われるという事態です。

 

次に、お題4、『STAP細胞』。ES細胞とかiPS細胞などの研究により「人間は死ななくなる」と言われましたが、今度はSTAP細胞です。より、簡単にステム・セルができます。今までも、iPS細胞により、いろいろなもの(?)を作りだす研究が進められています。例えば、最近のニュースでは、『iPSから赤血球を大量生産!』。『血小板を作製!』、『iPSで免疫力強化!』、『歯茎の骨を再生!』などなど。もうほとんど「フィリップ・K・ディック」の世界ですよ。

 

STAP細胞の今回の報道によりますと、そのままでは胎児になれないように細工した受精卵にSTAP細胞を注入し、子宮に戻したところ、全身がSTAP細胞からなる胎児ができたということ。「切断した指が生えてくるような究極の再生医療への応用」までつながる可能性があるそうです。

 

はい、これで人間は150歳ばかりか、死ななくなったので~~~す。仕事も機械に奪われました~~~。

 

そこで、人に何ができるか。先の国立情報学研教授・新井紀子さんは、「教育の抜本的な見直しが求められる」と言っておられます。「例えば、機械翻訳が発達すれば英語教育に10年も掛けることが必要か」とか。コンピュータに勝てる高度人材を育て、人間に残される仕事を見つける…なんて、これで人類は、究極の「自分探しの旅」に旅立たなければいけないことになってしまいました。

 

 

そこで、大団円……お題5の『死の権利「安楽死のできる国」』です。オランダでは、2002年に、安楽死が法律で認められました。日本で言う「尊厳死」ではありません。日本では、人生の最後、もう延命の治療もなく本人自らの力で生きていけない植物状態の患者が人間としての尊厳を保つために死が与えられます。

 

オランダで安楽死を選んだアネカさんの話を新聞記事で読みました。アネカさんに持病はありません。ただ、75歳頃から、耳が遠くなり視力も衰えました。家中、手探りで生活を営む日々です。「もうこれ以上、このような形で暮らし続けたくない」と安楽死を選びました。もちろん、家族は反対しました。でも、決心したアネカさんは、自分の死ぬ日を定め、それまでの日々を家族と自分が思い描いた日程で過ごして行きました。そして、最後の日、時間きっかりに家庭医が彼女の家を訪れました。医師から手渡された薬を飲んで、娘たちが見守る中、20分程で死に至ったそうです。89歳でした。

 

2002年にオランダで安楽死の法律が施行された時は1882件だった安楽死の報告数が、11年には、3695件で全死亡率の3%弱になるそうです。緊縮財政が続く中、福祉予算のカットも余儀なくされます。そのために生活の質が低下した人たちが、「人生に疲れた」と安楽死を求めることに批判はあります。生活の改善が先だと。

 

しかし、今まで見てきたような世界が現実になりつつある時、そう単純に安楽死を否定はできない。実際、長寿になって、健康に裕福に「自分探しの旅」などを始められる人がどのくらいいると思われますか。たいていは、そんな能力もない、時間もなく日々の糧に追われる、そんなところでは。もうそんな「未来」が始まっているような気がします。ただし、まだ「先進国」でのお話ではありますが。

 

 







追記:(2014・8・31)STAP細胞は、現在、存在するかどうかの検証中です。この文章を書いた頃は、国を挙げて喜んでおりました。




にほんブログ村 その他日記ブログ ひとりごとへ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿