2015年3月14日土曜日

ハーグ条約と2011年にわたしが出会ったアメリカ人の先生の話


次のトピックの英語クラスのためのわたしの「お題」です。先回のクラスで少々脱線して国際結婚の話が出たので、思いつきました。と言っても、大した話ではなく、2011年にわたしが出会った英語の先生の話です。

 

その頃、ちょっと病気をしていて、1年ほど外を出歩けない状態でした。で、英会話のクラスにも行けませんでした。それで、英語レッスンを再開するにあたって、プライベートレッスンを取ることにしました。その最初の先生が彼でした。しかし、とてもいい加減な先生で、5回ほどしかレッスンをしませんでした。つまり首にしたのです。その5回も、一度もまともにはレッスンの場所に現れません。

 

一回目は、セラピーを受けていたので遅れたと。「セラピーなんて高いでしょう。」と聞くと,「タダだ」ということ。国際センターで、海外から来た人は無料のセラピーを受けられるそうです。「わたしも無料でセラピーを受けたいワ。」と思ったものでした。彼のセラピーの理由は、日本人妻との離婚後で子供に会えないというものでした。

 

二回目の遅刻の理由は、イミグレーション審査に行っていたというもの。妻と離婚したので、日本の滞在資格があるかどうかの審査だそうです。つまり、滞在できるだけ稼いでいるかどうかです。彼は今のところ稼ぎが足りないということでした。

 

三回目は、レッスンのあと調停に行くので準備で少し遅れた…ということ。今まで、元妻は、週一回の子供との面会を許可していたが、これからは月一回にするということで、調停を申し立てたようです。子供はその当時は2歳の男の子と4歳の女の子でした。その他の遅刻の理由は、風邪をひいたとか花粉症の手術をしたとかいうものでした。



 

そこでハーグ条約です。ちょうどその年、国際社会は日本にハーグ条約にサインしろと圧力をかけていたのです。ずいぶん古い話で恐縮ですが、日本政府はようやく2014年4月に条約にサインしました。去年ですね。なので、このアメリカ人の先生は、自分が子供に会えないことを日本の民法が悪いのだと言っていたのです。時代遅れの法律で、僕の権利は剥奪されていると。彼は、フリーマガジンを出版していました。その雑誌に記事を載せました。Japanese Family Law Sucksという題です。とても日本に対してオフェンシヴな内容でした。その記事をメールでわたしに送って来ました。わたしにもその雑誌に記事を書けと言っていたので、送付したのでしょうが、よくそんなもの送ってきたなあ、という感想です。

 

 

ハーグ条約は、ご存知でしょうが簡単に説明しますと、インターナショナル・カップルが離婚する際、父あるいは母がこどもを連れ去って他の国に行った場合、その行った先の国が責任を持って、その親子を探し出し、元の国に送り返しそこで裁判を受けさせなければならないというものです。2011年現在で、加盟国は84カ国で、主要国ではロシアと日本が加盟していませんでした。その年1月、フランス上院で、日本に対し早期締結を求める決議が採択されました。同じくその年の9月にはアメリカでも下院で同様の決議が採択されました。

 

アメリカでは主に日本人妻が子供を日本に連れ去ることが問題になっていたのです。日本政府は条約にサインしていなかったので、その子供を探し出すことができなかったからです。妻の方にももちろん言い分はあります。夫の家庭内暴力の問題です。その上、たいていの場合、日本人妻はひとりでアメリカにいるわけですから、彼女の親の援助を受けることができません。例えば裁判所に行くにしても子供を預けるところがないとか、アメリカで暮らしていくために仕事を探さなければいけないとか(専業主婦だった場合)、人によっては言葉の問題もあります。

 

また、反対の場合もあります。日本に住んでいた外国人の夫が、突然子供を連れて消えた場合です。残された日本人妻は、政府が条約にサインしていないので同様に海外に消えた子供を探す手段がありません。双方のメリットが対立しているので日本政府も慎重になっていました。また、アメリカから子どもを連れて帰国した妻は、アメリカにもどると子供を誘拐したかどで逮捕されるという事情もありました。

 

日本の政府が躊躇していたもう一つの理由は、ハーグ条約を締結する為には国内での法整備が必要だったからです。たいていの先進国では、離婚後の親権は両親にあります。日本の民法では、どちらかに親権があるとなっています。ここが、先に書きましたアメリカ人の先生の言い分なんですね。「時代遅れの日本の民法」の由来です。アメリカでは、たとえ家庭内暴力をふるう親でも、子どもに遭う権利は保障されています。もちろん子供の安全保障と看視が条件ですが。「離婚後、両親に親権」という項目は現在どうなっているのか勉強不足ですが、とにかく、ハーグ条約は日本でも2014年にクリアーしました。

 

 

冒頭の彼は自分のフリーマガジンでこう書いています。(抜粋)

 

The current Japanese laws, or lack thereof, provide no visitation rights for divorced fathers, it’s an abhorrent and archaic system of implicit child abuse.  Divorce is messy, but there should be laws governing this process.  As it stands, if you’re a non-Japanese father in Japan, and your Japanese wife decides you can’t see your children, essentially, you can’t and the law, or lack of law, supports this.

 

Japanese men also suffer this injustice, but as far as I can tell, they don’t seem to care much.  For an example of how things are done here, see former Japanese Prime Minister Junichiro Koizumi, who in “normal” Japanese fashion, abandoned his third son who was born after his divorce from his ex wife.  Japanese divorced fathers seem happy to take the back door out of their children’s lives, or, could be they know their ex-wives have no intention of sharing child-rearing responsibilities with them.  Could be too “complicated” a situation for ex-waives to have to deal with, figuring out how to have harmonious relations with their children’s father, dealing like a rational reasonable person acting in the best interest of the children is just too much for most spurned Japanese women, kick dad to the curb, no matter how it might affect the children, it’s “easier” that way.  I suppose it’s traditional for Japanese dads to split from their children after divorce, but some traditions aren’t really cool.

 

 

彼は、日本の離婚した夫は自分の子供に会えないことに関心はないと思っているようです。この点について、その後、他の先生を調査してにみました。オーストラリア(オリジンはニュージーランド)の先生は、「父親は関心ないね。ハーグ条約なんてどうってことないよ。」と言っていました。それから、これを書いたアメリカ人の先生は、アメリカに元彼女とのあいだにできた子供(娘)を置いてきているんですからね。わたしがそのことを指摘したところ、彼は、

 

「僕たちは結婚していないんだ。そして子供は、彼女の母親の所で幸せに暮らしているよ。時々プレゼントも送っているからね。」

 

と言いました。

 

 

なんてこったい!!!







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