2015年3月9日月曜日

The Bottle Imp 第3章(最終章)


いよいよこれが最後の章です。しかしその前にRobert Louis Stevensonについて少々。彼はもちろん有名な作家ですから、わたしが彼の名前を知っている事に間違いはないのですが……、なにかちょっと引っ掛かるところがあります。先回は『新アラビア夜話』について触れました。彼の著作です。それをどこかで見たという感覚があるのです。

 

で、本棚を探してみました。この本はありませんでしたが、違う本『マーカム・壜の小鬼、他五篇』という文庫本を見つけました。まさしく、『壜の小鬼』、『The Bottle Imp 』です。この本を買った時の動機を思い出しました。『新アラビア夜話』は、日本で翻訳本が出版された時えらく評判を取りました。幻想怪奇小説の大御所がそろって書評で絶賛。

 

わたしが、『マーカム・壜の小鬼、他五篇』を買った理由は、この本は7篇の短編が含まれていますが、そのうちの4編が、ホルヘ・ルイス・ボルヘスが編纂した『バベルの図書館』に含まれており、それは1989年に国書刊行会から出版されています。あの国書刊行会が出版していること、そしてその出版社の本は高価だが、今回は文庫本として岩波が出版していること。つまり、お得でしょ。なので買ったのです。

 

英語クラスの読書会としてのテキストは、英語が簡単にしてあるバージョンだと書きました。だから、文の美しさを鑑賞することはできないと。そして、今回見つけた『マーカム・壜の小鬼、他五篇』で、「壜の小鬼」をパラパラと読んでみたところ、56ページもあります。それを、テキストは10ページ程に要約してあります。簡単な上に要約です。これではもうRobert Louis Stevenson著とは言えないのでは。せめて原作はRobert Louis Stevensonとすべきだは…、と思うんですけどね。

 

例えば、KeaweKokuaに彼が幸せでない理由を告白するところを前回書きました。そして彼女の解決策は、

 

“I will save you! It is still possible to sell the bottle imp. What is the problem with one cent? In England, they have a coin called a farthing, which is worth only half a cent, and in France they have centimes, which are worth about five for one cent. We will go to French Tahiti! Kiss me, my love, and do not be afraid.”

 

わたしは「なんというエゴイストなんでしょう。」と言いました。そして、なんて単純な女なんだろうと思いました。が、原文は、日本語訳ですが、

 

「あなたは何も知らないの」と彼女は言った。「わたしはホノルルの学校で教育を受けたのよ。そこいらの娘とはちがいます。きっとあたしの愛する人を救って見せる。1セントが何だっていうの?アメリカだけが世界じゃない。イギリスには一ファージング硬貨があって、一セントの半分なのよ。ああ、でもだめ!」と彼女は叫んだ。「これじゃあ何もならない。今度は買った人が地獄行きだもの。ケアウェのように勇気のある男がいるはずはないし。でも、まだフランスがある。あそこは一サンチームという小銭があって、一セントが五サンチームかそこらになるの。これがいちばんいいわ。さあ、ケアウェ、フランス領の島へ行きましょう。すぐに船でタヒチに行きましょう。あそこに行けば、四サンチームも、三サンチームも、二サンチームも、一サンチームもある。四度も売り買いができる。わたしたち二人で売りつけましょう。さあ、わたしのケアウェ、くよくよするのはよして、キスしてちょうだい。コクアがあなたを守ってあげるわ。」

 

どうですか。コクアは単なる「ナイーヴな女の子」ではないんですよ。

 


 

では、最終章です。

 

Kokuaは、ある日、Keaweが深く嘆き苦しんで地面でのたうち回っているのを見つけ、何とかしようと決心します。そして、ひどく咳込んでいるひとりの老人に出会います。そこで、Kokuaは彼に全てを話し、助けを求めます。わたしは、あなたを騙す気はないと。KokuaKeaweから瓶を買う事は出来るが、彼は売らないだろう。だから、彼にKeaweから、瓶を買って下さいと頼みます。彼が4サンチームで買い取り、そして、Kokuaがそれを3サンチームでもう一度買い取ると。老人はかわいそうに思い、そうすると言いました。

 

彼が戻って来ました。言う通りにしたと。そして、Kokuaに言います。

 

“I have done what you asked,” he said, “and I have left your husband weeping like a small child. He will sleep well tonight.”

 

そしてKokuaは、

“Before you sell it to me,” she said, “ask the imp to take away your cough.”

 

そして老人は、

“I’m an old man, and I do not want to enter into any deals with the devil. Why do you hesitate to buy it from me?”

 

  やっと、正直な健全な人が現われましたよ。自分の悩みは自分で引き受けると。悪魔の手は借りないと。

 

老人はKokuaを哀れに思い、買い戻さなくても良いと言いますが、彼女はそんなことはできないと、きっぱり瓶を買い戻しました。家に帰るとKeaweは、すっかり元のように元気になっていました。しかし、今度は彼女の番です。彼女は、ふさぎ込んで夜も眠れないようになりました。

 

しかし、KeaweKokuaがなぜ悲しそうなのかわかりません。これでハワイに帰って幸せに暮らそうと彼女にいます。彼女は、ハワイに帰ればもう瓶を売る手立てがありません。いっそう悲しくなりました。それを見てKeaweは、怒りだします。

 

  男はどこまでも馬鹿ですねェ。

 

“What a fool that old man was to buy it from me,” he said. “I wonder what he needed it for?”

“It may have been for a good purpose,” said Kokua.

“”I don’t think so,” laughed Keawe, almost angrily. “He is a rogue, I’m sure, as well as a fool. I bought it myself, I know, when I had no hope of selling it, but I have been lucky. He will never be able to sell it now, and he will burn in hell forever.”

“My husband, is it not a terrible thing to save yourself by condemning somebody else? Instead of laughing, you should be humble.”

Keawe knew that she was right, but he did not want to admit it. “You can be sad if you like,” he said, “but a good wife should be happy with her husband.”

 

Keaweは、怒って一人で酒場に出掛けます。そこで、最終的に瓶を買うのに「ふさわしい」人が現れるんですよ。最初は、KeaweKokuaが瓶を買い戻したことを知りませんでしたので、その酒場で出会った飲んだくれの船乗りといっしょにお酒を飲んでいました。そして、お金がなくなったので家に取りに帰ります。そして、家で「例の瓶」が食器棚に納まっているのを発見します。「なんじゃこれは。」といった感じで、Keaweは、深く反省します。

 

が、その飲んだくれの男が瓶を買うというのです。「俺はもう地獄に落ちる身だ。今さらどうだっていうんだ。瓶を手に入れて、死ぬまで良い暮らしをするさ。」ってね。

 

“But the person who owns that bottle when he dies will burn in hell forever!” exclaimed Keawe.

“I’m sure I’m going there anyway,” shouted the old sailor, “and this bottle will help me to enjoy the time I have left before then.”

 

 

That’s how the Great House in Hawaii became a peaceful and happy place again.

 

チャンチャン!

 

 

最後に神をも(悪魔も)恐れぬやつが幸せなカップルを救ったということです。著者の思惑が、どれだけこのテキストに反映されているのかはわかりませんが。たいてい子供向けの小説を書いている輩は、sarcasticです。マーク・トゥエイン然り、ガリバー旅行記然り。ましてRobert Louis Stevensonは、子ども向きに書いている訳ではないので、この「神をも恐れぬ奴」が一番この矛盾だらけの世の中で生きていくのに「正しい態度」を取っていると言えるのかも。








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