2015年11月3日火曜日

「会社」とは? (ワンダーランド上海 2003-2005)


とりあえず、1ヵ月間は上海に住むことになりました。1ケ月の間にこれからの人生を考えようと思いまして。日本の自分の家に暮らしていると日々に追われるだけですから、何も考えずに一日が過ぎ去りますから。

 

ほんのわずかな時間しか上海に住んでいないのですから大きなことは言えませんが、上海の「会社」ってなんだろうと思いました。第一、中国は資本主義体制ではないのですから。まず気が付いたのは、上海の「小さな会社」は、政府に認められていないモグリの会社が多いという事実です。会社あるいはお店などです。

 

そのひとつの目安は、会社が発票(領収証)を出せるか出せないかです。領収証の用紙は政府が定めており、どんな用紙でも良いというものではありません。日本ではその辺の紙に書いても領収書として通用しますよね。上海では、会社はあらかじめ領収証の束を政府から購入するのです。つまり、政府のどの機関かは知りませんが、そこに登録していないと領収証を買う事が出来ないのです。

 

政府はこの領収証で税金の管理をしているということになります。上海のレストランで食事をした時、スクラッチ籤付きの領収書をもらったことはないですか。スクラッチを削ると10元とか5元とか、まれに1000元とかの文字が出ます。「謝謝(シェーシェ)」と書かれていたらハズレです。出た金額をレストランから頂けます。

 

つまり、客がレストランから領収書を受け取らないと売上とならないので、政府が税金を取り逸れます。籤が付いていると客は必ずレストランに領収書を要求するということですね。そう聞きました。例えば、上海はどこも込んでいるので駐車場を探すのもたいへんですが、道路沿いに日本でいうパーキングメーターのようなものがあります。ただし、機械ではなく人が料金を徴収しています。しかし、領収書をいらないと言うと安くしてくれます。徴収人がそれをネコババするのか会社がインチキをするのかは知りませんが。

 

 

結果的に、正規でない会社が横行しているということになります。会社を興すことはたいへんなことと想像しますが、上海ではそうでもないみたいです。簡単に創って、簡単に止めます。お店だったら、お店を借りて売るものがあればそれでOK。内装とかディスプレー器具などはお構いなし。利益が上がってきたら、徐々に整えていけばいいのです。だから、ダメなら即やめられます。

 

メイ曰く、「日本人完全主義者だから、考えられないでしょ。」

そうよねえ。出店するにしても、完璧に「自分の世界」を創造しようとしちゃいますよね。

 

会社に勤めるのも同じこと。会社に3年もいれば「長く勤めてるね~。」って言われちゃいますよ。会社に勤めている人も自分で似たような会社を作ったりして、会社のお客を自分の会社に引き抜いてしまうということが日常です。何のルールもありません。

 

思い出しました。ワンさんのコンス(会社)の近くに、メイの知り合いの美容室があって、ビルの中の一室で営業しているので美容院という感じではありませんが、メイに「行くから一緒においでよ」と言われ、社会見学のためにお供しました。

 

とても興味深いシチュエーションでしたが、そのお話はまたの機会にするとして、そのお返しかどうか、美容師さん(男性)がコンスに遊びに来てくれました。わたしの作品がケースの中に展示してあります。その中のバングルを気に入って、でも彼にとっては高価で、彼が言うには、「美容院のカット券と交換しよう。」と。カット券はいくらかと聞くと、とても安い値段。上海では、まだ技術料は高くなく、カットという技術は評価されていない様子でした。計算してみると1カ月に一回行くとしても、三年くらいかかりそうでした。それで、丁寧にお断りしたのですが…、なんと、彼、すぐその美容院やめちゃったんです。もし、これ、交換していたらどうなっていたのかと思うと笑っちゃいますよね。

 



 

そこでワンさんのコンスのお話です。わたしが帰る頃になって、ワンさんが突然日本語の通訳を連れてきました。メイはそのことは知りませんでした。当然です、メイが全て通訳していたのですから。他の通訳を連れてくるとはどういうことか?

 

ワンさんはメイの通訳を信用していなかったようです。メイとわたしで好きな事を話していると思っていたようです。つまり、これまで書いてきたように、経営者は従業員のことを全然信用していません。

 

ということで、通訳を通してワンさんとお話したのですが、その通訳が最低でした。彼も、「能力がなくてもすぐ商売を始めちゃう」という類のひとりだったのです。話は通じない、彼の携帯は話し中に鳴る、携帯をOFFにしろと言っても会社からの連絡だからダメと言う始末。メイは、初めのうちは彼の通訳を通訳していましたが、終いには怒って黙っちゃいました。

 

 

話していくうちにわかったことは、この会社の資本金は、ワンさんが80%、メイが20%と聞いていましたが、ワンさんの資本金のうち30%はオーストラリアに住んでいる友達が出資しているということ。こんな話、面白くも何ともないでしょうがもう少しだけ書かせて下さい。

 

日本で、わたしの友達の会計士に中国の会社について調べてもらっていました。それによりますと、海外の資本金が入る場合は用意しなければいけない資本金の額がすごく大きくなってしまうということ。とうてい我々には出せない額です。オーストラリアからの資本が入っているのに資本金の額が少ないということは、それだけでこの会社は正規のものでないとわかります。

 

ワンさんが通訳まで連れて来てわたしと話し合った目的は、どうやら、わたしに共同経営者になって資本金をだしてもらいたいということのよう。

 

メイに聞いてみたら、「日本人、金持ちだから。でも、ホントのことじゃないよ。ただ資本金、誰がいくら出したか紙に書いてあるだけ。やめた方がいい、受講料の歩合だけもらった方がいいよ。」とのこと。

 

それでわたしは、日本人の特質をいかして「考えておきます。」で話を終了。デタラメな通訳でも、通訳代は高いからワンさんのためにも「早く切り上げた方がイイよ。」と思った訳でした。

 








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