2015年11月24日火曜日

未だ、仕事ならず――(ワンダーランド上海2003-2005)


ワンさんとの話し合いはまだ決着が付きません。実は、わたしは、日本から荷物を2パックこちらに送っていたのです。ワンさんの事務所の住所で。上海に着き次第受け取ろうというつもりでした。ひとつは、これから銀粘土のしごとを始めるにあたり、仕事関係の道具とか材料のパック。もうひとつは、全くの私物でした。そのパックが上海の税関で差し止められたのです。

 

ワンさんの事務所宛にしたので、税関に取り行くのも事務所の印鑑が必要なのです。ところがワンさんは、わたしたちの電話に全く出ません。もうひとつの理由は、仕事用のパックが、わたしの日本の協力者の会社から直接送られた物ので、輸入ということになってしまったのです。輸入ということになると、輸出入に携わっている会社しか商品に係わることができないのです。ワンさんは、そういう貿易会社に頼んで荷物を引き取り、その会社に手数料を払う事に文句を言っているのです。わたしたちは自分で払うから、とにかく受け取ってくれと頼みましたが、それっきり電話に出なくなりました。

 

わたしの私物は、自分の名前で送ったのですが、宛先を事務所にしてしまったのがいけなかったようです。中国の郵便事情を全く知りませんでした。ほんと、自由主義国・民主主義国に住んでいたら、ビックリするような事が当然のように行われています。郵便事情で言うと、投函する郵便物を封印することはできません。郵便局に封をしないまま持って行って、係の人に渡し正規の封筒と切手を買ってその場で係の人が封印します。もちろん、係の人は中味をチェックすることはありませんが、そうする権利はあるということでしょう。宅配便のような箱もわたしがガムテープで封をしようとしたら、止められました。蓋を開けたまま郵便局に持って行くのです。後に上海で知り合った中国系アメリカ人と「なんでだろうねェ。」という話になった時、彼は、「封筒を売るためじゃないかあ。」などと冗談を言い合いました。

 



 

そんな訳で、ワンさんと連絡も付かず、荷物も手に入れることができないまま、わたしは未だメイのアパートに居候しているということです。もう1週間以上経っています。メイの御主人はとてもいい人で、わたしがいることに何も言いません。メイといつまでも仲良く付き合って下さいと言われました。わたしは、「明白了!」と。「わかりました」という意味です。メイは、タイミングも意味もバッチリ決まったと、大笑い。まあ、彼は、だいたいは夜中2時過ぎに帰ってきて朝は7時30分には家を出て行きます。めったに顔を合わせないのです。

 

彼女の息子のトニーもとても良い子です(小学校1年生)。土曜日4時ごろ学校のバスで帰ってきます。そして、また日曜日の3時ごろバスで学校に戻ります。メイは、トニーのバスが来る場所まで行って、彼の送り迎えをします。居候の身分としてわたしは、いっしょに迎えに行きます。そして、いっしょに御飯を食べます。と言っても、どこの国の子供でも同じように好きなものは、ハンバーガー、ケンタッキーフライドチキン、ピザハット。

 

メイはご主人が出張の時や海外旅行をしている時はご主人の車を使えますが、その他の時はたいてい地下鉄です。メイのマンションは最寄の地下鉄の駅から歩いて5分くらいの距離。地下鉄はラッシュ時には信じられないくらいの混雑ぶりです。ですから、トニーを迎えに行っていっしょに地下鉄で家に帰る時は、トニーは慣れないわたしを気遣って時々わたしの方を振り返り様子を見てくれます。

 

実は道を渡るのも大変なんです。車は右折の場合は赤でも行けます(右側通行)。その上、車は歩行者のことなど、なあ~~~んにも、考えていないので、横断歩道を渡る場合、信号が青でも右折車、左折車に気をつけなければなりません。さらに自転車は信号など気にしていないので常に注意しなければいけません。信号ではないところを渡る時は、なお大変。時々道の真ん中の中央線のところに今にも倒れそうなご老人が立っていたりします。それでも車は気にせずフルスピードビューンビューン走っています。わたしも来た当初は、おばあちゃんのようにメイとかトニーが手を引いてくれました。今はどこでも道を渡ることができますが、ちょっと考えことをしていたりすると車に轢かれそうです。

 

トニーとはよくピザハットに行きます。近くの大型スーパーにはいろんな店舗が集まっており、休みの日には人でいっぱいです。そのスーパーの中にあるのピザハットも1時間待ちはあたりまえ。その上、中国のファーストフードと言えそうな餃子、肉まん、麺などは1皿あるいは1杯5~8元(1元約14円)で食べることができるのに、ピザは1枚(2人前くらいの大きさ)50元です。路上で売っている肉まんや野菜まんは1元です。中心街から少し離れると1個8角(1元が10角)なのです。

 

はい、そこでメイとメイの夫とトニーの関係ですが、前にも書いたようにトニーはメイの夫の子供ではありません。中国では姓は結婚しても変わらないので、そしてトニーはメイが離婚した時、親権が前の夫になったので、今の家族は全員まったく違う苗字です。そして、中国ではあたり前に女性が働いているので(研究課題3)子供はいろいろなところに預けられます。メイも親といっしょに暮らしたことはそんなにないと言っていました。「親といっしょにいるとどういう態度とったらいいかわからないね。」と。と言うことで、トニーもメイの親のところに行ったり叔母のところにいったり、(子供はひとりで飛行機に乗って遠くの親戚のところに行ったりしています。)元夫の親のところに行ったりしています。

 

わたしがメイの家に居候をしていた間にも、彼女の元夫が訪ねてきたことがありました。トニーを彼の親のところに連れて行くために。もちろん、彼の親も孫の顔を見たい気持ちは当然で、おじいちゃんおばあちゃんも楽しみにしています。でも、普通、結婚しているメイの家まで来るのか(?)と思ってしまいました。

 

その時トニーは家にいなかったので少し彼は部屋で待っていました。メイと彼は、日本に留学していた時に知り合って結婚したので、彼も日本語は話せます。でも、「こんにちは」とわたしに言ったきりなにも話しません。気まずい雰囲気のままトニーを待っていました(メイの夫は出張中)。そして、トニーが戻ってきて彼がトニーを連れて行きました。残されたのはメイとわたし。

 

わかるな~~~メイの気持ち。(わたしも同じような境遇だと告白しときます。)

 

メイは、

 

「彼、ちょっとビックリしてたね。日本人、わたしの家にいたからね。」と、気丈なコメントをしました。








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