2016年4月5日火曜日

もはや生物じゃない (1)


人間はもはや「自然の生き物」ではないという思いです。大まかにふたつの思いがあります。ひとつは、iPS細胞による人間改造。もうひとつは、義手・義肢などによる人間改造です。今回は、iPS細胞についてです。

 

人類が、自然界から生物的に変化してきた最初の事例は、私見ながら「試験管ベビー」と思います。人工受精です。自然な状況で子どもを得られない人々には朗報でしたでしょうが、「試験管ベビー」はどのような意味を持つのでしょうか。生物界では行き過ぎた繁殖は制御されます。食料不足とか繁殖能力が衰えるとか。1978年にはじめて試験管ベビーが誕生してから、人工受精による子どもの誕生の数は非常に増えています。具体的に何%かは、覚えておりませんが。ちょっと検索したところ、こんな記述を見つけました。

 

厚生労働省の資料によると、2010年では全出生107万人程度に対し、3万人弱が体外受精による出生だったという発表があります。一方2014年9月5日、読売新聞が「体外受精児 27人に1人」という記事を発表しました。日本産婦人科学会が前日に発表した資料を元に作成した記事のようで、2012年の体外受精による出生児は、37953人という発表でした。

 

日本ではどうも30人に1人が体外受精で生まれているようです。もはやこれは日常です。はじめての試験管ベビーが、イギリスで誕生した時には、人々は「道徳的な観点」あるいは「生物学的に正常なこどもが生まれたのか」との意見が噴出しましたが、今では話題にもなりません。また、ES細胞が発見された時もクローンの問題や遺伝子操作の点で人道的問題が取りざたされました。しかし、今ではもう忘れ去られています。

 

その後が、iPS細胞です。iPS細胞はES細胞より手に入り易く、研究も進んでいます。ES細胞が世の中に現れてから、とても興味がありその足跡を追跡しています。そんな最近の事例を羅列してみます。

 
 
 
 

 

2015年10月11日の新聞記事です。

 

横浜市立大の谷口英樹教授さんのチームは、約4年前、ヒトiPS細胞から分化させた肝臓のもとになる細胞と血管を作る「血管内皮細胞」、細胞どうしをつなぐ「間葉系幹細胞」を混ぜて培養。これがモコモコと立体化しヒトの「肝臓の芽」を作ることに成功。―――この肝臓の芽を移植する臨床研究を19年にも実施したい考えだ。

 

京都大iPS細胞研究所の川口義弥教授は体外で「膵臓を丸ごとつくる」考えだ。培養皿の上で臓器ができれば、移植だけでなく、薬剤を開発する過程で薬の試験に役立つ。

 

理化学研究所多細胞システム形成研究センターの辻孝チームリーダーは2001年、「三次元の立体器官の作製」を研究目標に掲げた。先ずは、歯のもとになる「種」を作製。試行を続けて6年目、「器官原基」を完成。歯の器官原基がマウスの口内で歯に育つことを確認する。その後、唾液腺や涙腺、毛包(毛を生みだす)の再生にも成功した。辻さんは、「細胞が複雑な構造を持って機能を果たす器官再生は次世代の再生医療。すでに基礎研究のブレークスルーは起きた。実用化に持って行く段階まで来ている」と述べている。

 

2015年10月23日の新聞記事より。

 

血液をつくる造血幹細胞を取り出し、体外で様々な血液細胞に変化できる能力を保ちながら無限に増やせる方法を開発したと、理化学研究所などのチームが発表。

 

2016年1月15日の記事。

 

ヒトのES細胞から、成長ホルモンなどを出す脳下垂体を作ることに、名古屋大学と地科学研究所のチームが初めて成功した。名古屋大学大学院医学研究科の須賀英隆助教は「適切な移植場所など、再生医療に近づけるための安全性を高め、下垂体の機能が低下した患者の根本治療につなげたい」と話した。

 

2016年3月10日の記事です。

 

ヒトのiPS細胞から、目の角膜細胞をつくることに、大阪大などが成功した。阪大の研究チームは2年以内に患者への移植を目指す。

 

2016年3月5日の記事です。

 

ヒトのiPS細胞から作った心筋の細胞などを組み合わせた「心臓」のモデルの作製に大阪大の研究チームが成功した。阪大の明石満特任教授らは、フィルターを使い、狙った位置に細胞を積み上げる手法を開発。iPS細胞から作った心筋や血管の元になる細胞などを「接着剤」のたんぱく質と混ぜ、10層に積み上げて心臓の組織の再現に成功。

 

ヒトのiPS細胞から作った軟骨で、ヒトの耳の形を作り、維持させることに東京大と京都大の研究チームが成功。東京大の高戸毅教授は「長期的な経過や安全を確認し、5年後には小耳症患者に臨床応用したい。この方法は他の先天的な顔の軟骨欠損や変形性ひざ関節症の治療にも使える可能性がある」と話している。

 

2016年4月1日の記事です。

 

慶応大学医学部の研究グループは心臓の筋肉になる心筋細胞を、iPS細胞から高純度でつくる方法を開発した。福田恵一教授らの計画では、人のiPS細胞から心筋細胞をつくって大量に培養。手術で心臓の心筋内に心筋細胞が約千個集まった直径150マイクロメートルの塊を多数注射して移植する。

 

2016年3月18日の記事です。

 

ヒトのiPS細胞から作った膵臓の細胞をサルに移植し、血糖値を下げることに成功したと、東京大細胞生物学研究所などのチームが発表した。

 

2016年4月2日の記事です。

 

マウスのiPS細胞を使い、毛を生みだす「毛包」や皮脂腺などを含む皮膚全体をまとめて再生することに成功した、と理化学研究所などのチームが発表した。やけどや重度の脱毛症などの治療に役立つ可能性があるという。理研多細胞システム形成研究所センターの辻孝チームリーダーは、「ヒトiPS細胞でも同様に皮膚をまとめて再生することは可能だろう」と話す。


いかがでしょうか。ヒトは自然界から段々離れていくと思われないでしょうか。








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