2015年7月2日木曜日

おもしろい記事を見つけた!


7月1日の朝日新聞の記事です。「オピニオン」というコーナーで「スキマで輝く」と言うことに関して三人の方々が意見を述べています。実際には、中央で輝いている人々と同じようにスキマに自分の居場所を見つけて輝いている人々もいるという「人間社会」のお話なのですが、その中の一人に植物学者の塚谷裕一がいて、彼のお話がとてもおもしろいのです。

 

その著書に『スキマの植物図鑑』があります。塚谷さんは現在東京大学の教授です。以前、コンクリートの裂け目から出てきた植物が「ど根性大根」などと呼ばれてニュースなどになりました。そんなものが流行った時期がありました。そこで、この先生も「おもしろそうだ」と自分でサンプルを探し始め、写真を撮っていました。そんな写真がいっぱい集まったので、本にした…ということです。



 

道路や線路脇やブロック塀まで、アリも入り込めないようなところから植物は這い出しているのです。彼の言によりますと、広々とした野原は植物にとってとてもよい環境と言えそうですが、実は植物同士の競争の激しい過酷な環境だということになります。他の植物を押しのけて光や栄養を取り込まなければいけないからです。少しでも早く光を求めて上へ上へと成長しなければなりません。

 

それに引きかえスキマはというと、たしかに狭いが競争相手はなし。いったん這いだしたら光はすべてその植物のものです。無理に成長する必要性もなし。彼らはノビノビと素直にまっすぐに伸びているとか。「電柱のしただと定期的に肥料も落ちてくる」と彼は面白い事を言っていますよ。

 

そして天敵はそんな植物を見ると引っこ抜く人間です。そのために植物は、進化したと彼は言います。ユリは綺麗な花を咲かせた。また、神社や寺のオオバコなどは小さく進化して庭掃除の危機を免れたとか。園芸植物もスキマに多くみられるそうです。その種類は、ちょっと流行遅れ。花壇から脱け出して何年もたつのでしょうか。また、最新の品種を見つけると、彼は「オオッ、もう人間の手から逃げ出して自由の身になったか」と感嘆するそうです。

 

また、そんなスキマ植物は虫たちの生態にも影響を与えています。都市でモンシロチョウがたくさん見られるようになったのは彼らのおかげのよう。花壇では農薬がまかれていますが、スキマ植物は自然そのものですからね。彼は、スキマの植物が都市の新たな生態系の重要な担い手になっているのは意外な発見であると驚いています。

 

 

この彼の話は植物のことですが、人間の社会生活に置き換えてみると、とても興味深いと思いませんか。どんなに狭いスキマでも自分自身の居心地の良さは得られる。かえって、ノビノビとした自由な空間なのかもしれません。







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