2016年9月16日金曜日

『第四次元の小説』幻想数学短編集


これは何時買った小説でしょうか。――1994年とありました。例の如く買ったものの読むことなく、本棚に飾られていました。数日前、囲碁の勉強に疲れて違う事をしようかなと、本棚を眺めていて目に留まりました。三浦朱門翻訳の森毅解説です。

 

いろいろな作家の短編集ですが、「RA・ハインライン他」と書かれていたので買ったのかと想像されます。他の作家6人は、わたしの知らない作家でした。三浦朱門氏の「あとがきによりますと、ファディマンという人がこのアンソロジーを組んだそうですが、「ウェルズのような古典をさけて、なじみやすいSFと高級なSFとの中間というか、その両方に通じうる作品を、巧みに取り合わせている点が長所であろう。」という事です。

 
 
 
 
 

内容は、数学とSFが結びついたような作品と言えるでしょう。と言って、まだ最初の一遍の『タキポンプ』しか読んでおりませんが。著者はエドワード・ペイジ・ミッチェルです。数学の苦手な学生が数学教授の娘に恋をし、結婚の承諾を得るために教授に会いに行こうと思います。が、彼はその教授のゼミで一番出来が悪く、その他の学生は教授のご自宅に招待され、楽しい数学談議に花を咲かせているのですが、彼だけは招待されないという状態です。

 

しかし一大決心をし、1週間後に会いに行くという手紙を教授に送ります(この小説が書かれたのは、873年ですから。)。彼は、教授に1週間の猶予を与えたのだと強がりますが、実情は緊張で眠れぬ日が続き、教授の家の前に立った時は、「やつれて、眠そうで、元気なく、おばけみたい」だったのです。

 

教授は学校時代の友人に会いに行っているという事で、しばらく待たされます。

 

ようやく教授は会ってくれました。が、「君が娘と結婚したいなどとは何事だ。」と、取り合ってくれません。しかし、教授の悪ふざけの嘲りの企みで、問題を解いたら娘をやろうと。

 

「きみがひまなときに、いつか机に向かって、無限の速度の原理を発見したまえ。つまり、無限の距離を、無限小の時間で旅行する運動の法則だ。――できたら、その発見を私に数学的に説明して、なるべく実行可能にしたまえ。そうすればアブシッサはきみのものだ。それまでは、私にも娘にも、かかわらないでいただきたい。」

 

それで彼あるいは彼の友人が考え付いたのが、「タキポンプ」。ネタバレになりますので、興味のある方は読んでください。

 

 

話の中には、難しい数学用語や法則の名前などが出て来ますが、そのような知識がなくても楽しめると思います。この作品に関しては、星新一のような――落語のような――感じでした。数学に関しては、(注)もたくさんありますし、1篇ごとに最後に簡単な数学の解説・説明・豆知識が載っています。

 

今回は、「完読」できそうな気がします。









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