2025年8月4日月曜日

読書感想文です。

 



『一次元の挿し木』を読んで

 

新聞の本の広告で見かけました。

 

「二百年前の人骨のDNAが四年前に失踪した妹のものと一致!?」というキャッチコピーと「このミステリーがすごい!」大賞・文庫グランプリ受賞作というのに目を惹かれ買ってしまいました。

 

わたしの好物の「古代遺跡の発掘」と「遺伝子」にピッタリはまりました。200年前は古代ではありませんが、ヒマラヤ山脈で発見された800人あまりの遺体というのはセンセーショナルです。

 

主人公は七瀬遥。大学院で遺伝子人類学を学んでいます。遺骨のDNA鑑定を担当教授に頼まれ、その鑑定結果が失踪した妹のものと一致し物語が始まります。

 

その遥は樹木の会という新興宗教に属している母親に育てられたという背景があります。その母親と再婚した七瀬京一という遺伝子の研究者が連れてきたのが妹である紫陽(しはる)です。つまり義理の妹です。母親は亡くなっていますが。

 

彼の指導教授の石見明彦を加え、複雑な人間関係の内に、「なぜ妹のDNAが200年前の骨から見つかったのか。」というミステリーです。

 


 

設定からいうと本格ミステリーかと思いましたがそうでもなく、樹木の会と牛尾というとんでもない怪物が現れるピカレスク小説の態です。

 

ミステリーですから、なぜ妹のDNAが?という答えは言えませんが、この複雑な人間関係がもつれあって、話はドキドキもので進みながら、しっかりとスッキリと大団円となるという優れモノでした。

  

わたしは『ドラゴンタトゥーの女』を思い出しました。スウェーデンの作家で、以前世界的なブームとなったシリーズです。ハリウッド映画にもなりましたよ。そんな要素があると思います。まだまだ小ぶりですが。

  

きっと第二弾が出ると……。なぜなら、樹木の会という存在が解決されていません。それから、遥の助手である女性の存在がどうも怪しい。一か所しか出てこないどうでもよさそうな人物なのに、しっかり彼女のエピソードが入っているからです。

 

彼女の恋人の謎の男性です。出会い系サイトで知り合ったのですが、バイト暮らしで彼女のアパートに来ては、横暴な振舞いをしています。彼女が帰ってというと帰っていくので―――そこまでではないと思いますが。

 

この人物が、第二弾の引き金になるのではと―――、想像ですが。

 

 

 


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