2014年5月11日日曜日

『自由か、さもなくば幸福か?  二一世紀の<あり得べき社会>を問う』


名古屋大学大学院法学研究科教授、大屋雄裕氏の著作です。新聞の書評欄で見ただけで、実際の本は読んでいません。書評によりますと、全ての人間の身体にGPS機能付きのチップが埋め込まれている社会を想定して、その状態で人類はどうなるかの考察のようです。著者は、「案外」幸福な社会かもしれないと言っています。全ての人の行動が記録されるので犯罪がなくなるだろうと。また、警察官とか政治家、その他の権力者の身体にもチップが埋め込まれていて、それがコンピュータ管理されているので、彼らの横暴な権力行使も抑制できるとのこと。究極の監視社会です。監視社会で自由がなくなると言われるが、なくなるのは、「罪を犯す自由」だけではないのかと推定しています。



 

この本の書評を読んで、津田大介さんが言っていたことを思い出しました。津田さんはIT関係に肯定的な意見の持主です。時代の最先端のテクノロジーの解説などもしています。それで、スマホの話。今、wearable 携帯の時代が来ています。腕にはめるとか、メガネに付帯しているとか、そんなような事の解説をしつつ、津田さんは、「その内、みんな頭にチップを埋め込むことになるでしょうね。」と発言されました。

 

その時は、わたしは「オイオイ、それでいいんか。」と思ったんです。と言うのは、ハッカーがいるじゃないですか。コンピュータ制御の車でさえ、ハッカーによれば、乗っ取られてしまう世の中ですよ。ハッカーに頭の中まで乗っ取られてしまうじゃないですかと。

 

でも、そこで「そうか!」と思いました。全ての人が…、一人残らず制御されてしまえば解決です。犯罪の余地はなくなります。コンピュータが神となって、全てをコントロールしてくれたら、人類は平和に暮らせるでしょう。まるで、竹宮恵子の『地球(テラ)へ』ですね。その他のSF小説でもこんなシチュエーションはままあることです。まあ、90%の人類の日常生活にとっては、こんな監視なんてなんの影響もないでしょう。日々、平和に楽しく平穏無事に、なんの感慨もなく暮らしていけると思いますよ。

 

それ以上に、全ての人の頭の中にチップが埋め込まれれば、考えるだけで人と話ができるかもしれません。テレパシーです。そしてそこでは、言語の問題もなくなるでしょう。全ての人が一瞬で意思の疎通ができる世界―――わたしが理想とする「ハチやアリ」の世界の出現です。女王蜂がコンピュータと言う訳です。一人一人は、何も考えることなく、頭の中に浮かんでくる指令を受けて毎日をすごせます。

 

 

近代に西洋で編み出された「自我」とか「自由意志」の概念は打ち砕かれるでしょう。西洋啓蒙主義の敗北です。人類の発展の歴史にとって、そういう概念は必要だったかも知れない…、が、さらに人類が発展する為にはじゃまな概念になってしまうのかも。そこで、もしこの進化があるべきしてあるのなら、思うのは、「ヒトってなんなのだろうか」と言うこと。

 

「人類よ、進化せよ」という生命の命令に従って繁栄してきましたが、振り返れば、人の魂とか自我なんて、そのために「脳」が創りだした幻かもしれません。さて、そんな世界はユートピアなんでしょうかディストピアなんでしょうか。






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