2015年10月18日日曜日

豫園 (上海滞在記 4)


2003年上海を訪問した時は、単なる3週間の観光予定でした。それが紆余曲折あって今に至っています。未だにわたしは何故上海にいるのかわかりません。時たま真夜中にムクッと起き上がっては、

 

Why am I here in Shanghai NOW ???

 

と叫んでいます。

 

 

といったような話はまたの機会にして、豫園の話をしたいと思います。豫園は上海の観光地の一つであるとともに大問屋街。いろいろなものが凄く安く売られている観光スッポトで、もちろんたくさんの国からの観光客もいますし、日本人の観光客もいます。ここでわたしが言いたいことは、物には値札がついているが値段は交渉次第であり、どうあがいても中国人が買うより安くは買えないということです。

 

 

わたしとわたしの友達も、時々ここに買い物に行きます。たいていは仕事のためのもの。銀のアクセサリーに使える目新しいチャームとか材料とか。時には、わたしが材料を仕入れるなどのビジネスをしている日本の会社よりもうんと安く物が手に入ります。友達は、「何か欲しいものがあったら、一緒に交渉してあげるね。」と言ってくれます。

 

それは何かわたしに物を買わせたいような雰囲気でもあり、

「ほしいものあるか?」

「これいるか?」

「いくらなら買う?」

と畳みかけます。

 

わたしが、「これこれの値段なら買う。」と言うと、彼女は交渉を開始します。彼女が交渉している様子は、とてもおもしろくまるでパフォーマンスを見ているよう。怒鳴りあったりして、けんかしているのかと大丈夫かと思っても、すぐにお互い笑いあったり、時には大爆笑しますから、「ああ、ケンカじゃなかったんだあ。」と。売り手の男性がわたしの方を見て、困ったような仕草をすることもままあります。アメリカ人なら多分ウィンクするところなんだろうと想像したりして。「どうだい、君の相棒は手強いぜ。参ったなあ。」なんて感じか。それでも値段交渉がうまくいかない時は、彼女は帰る素振りをします。「もういらないよ。」と言うフリです。が、敵もさるもので、引き止めないことが。

 

「あの人、引き止めなかったね。まあ、同じ物どこでもあるよ。」が、彼女の捨てセリフです。たいていは、買えなくてもどうという事はないのですが、どうしても欲しかったのにと思う事も。もうこの辺でいいから「買う」と言ってくれと、内心思う事もありますよ。

 


 

ある日、わたしたちは一芝居打ちました……、

 

いつものように彼女は「ほしいものあるか?」とわたしに聞きました。そこは、屋外の陶器屋さんで、何かのイベントでその時だけお店を出していたようでした。

 

「あるよ、あるよ。これ。」と言うと、

「これ300元(1元はその時約14円でした)と言っているね。わたしこんな陶器の値段わからないよ。」と。彼女にもそれがどれ程の価値がある物か見当がつかなかったのです。

 

それは、大小で対になった陶器の角のような形をしたもので、白い素地の上に文字やら記号やら絵やらがたくさん描かれていました。大きい方は高さが40センチくらい、小さい方はそれより5センチほど低かったです。わたしは現金をあまり持ち歩かないようにしていましたので、「300元は現金で払えないよ。カードならあるけど。」と彼女に言いました。

 

カードはその頃、上海ではめったに使えませんでした。有名レストランとかなら使えそうですが、デパートでも使えません。わたしのカードの使用目的は、銀行でお金を引き出すことです。「カードは使えないね。幾らなら売るかまず聞いてみよう。」となって、交渉開始です。

 

わたしは、中国語はわかりませんが、こんな感じです。

 

売り手:幾ら持っているんだ。

友達:100元。

売り手:冗談だろ。

友達:嘘じゃないよ。(ポケットを裏返して見せる。)

 

段々、人垣が出来てきました。上海では物見遊山で人が寄ってくるのはふつうです。好奇心が旺盛でたちまち黒山ができます。友達は、わたしに日本語で「いくらなら出せる。」と聞きます。わたしは「200元」とお金を出そうとすると、彼女は出すなという手振り。彼女は100元で交渉しているのだから、現金を見せるのは禁物でした。そして、また交渉開始。

 

友達:日本人、100元しか現金持ってないと言っている。(彼女はわたしの友達ではなく、わたしの通訳のようなお芝居をしています。)

売り手:それでいいよ。

 

すると、その妻とおぼしき女性の売り手が怒って、「100元で売るなら足りない分自分が20元払え。」と男に言いました。

 

どこでも女は強いですね。男性の売り手は友達の交渉にたいてい根負けして「もういいよ。」となりますが、女は手強い。友達は「かわいそうだからあと20元出して」と言うので、120元で交渉は成立しました。

 

わたしたちは、うまくいったと思って笑い出しそうになりましたが、彼女は、「笑うなよ!」と。ふたりとも笑いをこらえて、大急ぎでその場を立ち去ったのでした。









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