サマセット・モームの「Cakes and Ale」を読み終えました。前にもお話いたしましたように、わたしは「古典」と言われているものはとんと読んでいませんので、サマセット・モームの作品を読んだのもこれが初めてです。多分英語で読んだので最後まで読み通せたのでしょう。「何故か」と聞かれると説明するのは難しいのですが、逆説的に「難しいから読み通せる」と言うことでしょうか。
今回この本から得た物は、「shoot the moon」というフレーズです(夜逃げする)。最初どういう意味かわからず英会話の先生に聞いてみましたところ、彼も知りませんでした。つまり、わたしは英語で本を読んでいますが、もちろん全部を理解しているわけではありません。そして、英語を母国語としている人、然りです。考えてみれば日本語の本を読んだって書かれていることを全部理解することは至難の業であります。この「shoot the moon」の場合は単なるフレーズですが。
本の筋は理解できました。
話の内容は(わたしが理解できた限り)、ある小説家がいて、その人物は「小説家」というにはふさわしくないクラスの出身で、前妻はバーのメイドでした。その彼女は誰とでも寝るような人物なのですが、ある時他の男と駆け落ちしてアメリカに行ってしまいます。その後この小説家は失意のうちに病気になってしまいます。そして伯爵夫人(だったっけ・・・?わからん)の庇護を得、彼女が附けてくれた看護婦と再婚します。その夫人がこの小説家が亡くなるまで(相当年の差はあった模様)、面倒を見続け、小説家も大成し、彼がなくなるころには相当の有名人に。
そして、「この小説の語り手」ともうひとりの小説家Mr. Alroy Kear。「この小説の語り手」は若い時にこの有名になった小説家に会っています。もちろん前妻とも。そしてMr. Alroy Kear は、小説家の没後に彼の後妻である御夫人から彼の伝記を書くことを頼まれます。そこでAlroy は昔彼と会ったことのある「この小説の語り手」に若い時の彼との出来事を教えてくれるよう頼む・・・と言った筋書きです。
「この小説の語り手」はこの有名になった小説家の作品をあまり評価していません。彼の小説の観照についての記述、そして「語り手」とAlroy の意見の交換が「理解するのに」(英語を理解すること)むつかしいのです。一方は彼の小説を評価しないと言う。他方はとてもいい小説だという。しかし、「この小説の語り手」は彼の小説の中で唯一・・・一冊だけは評価しています。この小説が、この小説家と前妻の人生のすべての源泉だったのです。何故、彼女は他の男と寝るのか。そのことを知っているのかいないのか、この小説家は沈黙を守ります。何故、沈黙するのか。
最後にその秘密が明らかになる時に・・・わたしは、あぁ~~~あ、やっぱり、この「小説というもの」についてのむつかしい語りの部分ももっと理解しとかなきゃいけなかったのかな、と思った、という訳です。
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