久しぶりに読み応えのある小説に出会えました。AGOTA KRISTOF の小説です。英語で読みました。この作家をよくご存知の方にはつまらないインフォーメーションとは思いますが、わたしは初めて知った作者だったものですから。
英語で読みましたが、これはフランス語から英語への翻訳です。しかし、そもそも彼女はハンガリー出身で、革命が起こったときにスイスに逃れたようです(1956)。それからフランス語で小説を書き始めたのですが、とても簡単なフランス語で書かれていると解説されていました。
わたしが読んだ物はアメリカでプリントされたもので、「3 NOVELS――THE NOTEBOOK, THE PROOF, THE THIRD LIE」という題。英語への翻訳も3人の翻訳者でなされています。そこでわたしは三篇の小説の・・・短編集なのだと勘違い。アマゾンの中味検索をしたところ、「英語は簡単そう、そして短編集」=「わたしにも読めるかも」という結論です。
フランス語が簡単、翻訳の英語が簡単・・・これは作者の意図だったんですね。その簡単な英語のおかげでグイグイ読み進めていくことができたんですが、その内容は一筋縄ではいかずめまいがするような感じでした。というか、描かれている内容はむしろ日常の単純なできごとの時系列で最初の「THE NOTEBOOK」はお伽噺のよう・・・、がかえってそのおどろおどろしさを際立たせていました。完全に、アメリカやイギリスの本とは違うヨーロッパが匂ってくる感じ(東ヨーロッパあるいはヨーロッパの深い闇)。
内容をあまり詳しく言ってはいけませんよね~~~。でも、この3つの物語はそれぞれ独立した話ではなく、関連のある3部作でした。しかしその関連性の中に多くの矛盾が含まれておりいろいろな期待が見事に裏切られ、めまいを感じたといった次第です。この矛盾は小説として「正当」なのかなあという疑問はありますが、とにかく、思考する機会を与えてくれた本でした。
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