2013年8月13日火曜日

美術館

久しぶりに美術館に行きました。わたしの専門が「美学美術史」なので、わたしの周りの人はたいていわたしが美術館に行くのが好きだろうと誤解しています。わたしははっきり言って「美術館に行く」のはキライです。海外では時間がいっぱいあるし、行くところと言ってもそんなにないので美術館とか博物館、カセドラルなどに行きますが、日本では全然と言っていいほど行きません。



一番最後に行ったのは、大学生のころに行った「デ・キリコ」展だと思います。その後、日本で美術館に行った記憶は皆無です。何故美術館に行かないのか。理由のひとつは人が多すぎるということです。まわりに気を取られて、まったく作品を見るという気分が湧いてきません。昔の貴族(日本で言えば殿様か)が自分だけで美術品を独占し、こっそり楽しんだのも想像できます。美術館で見るのとはきっととても違った印象が得られるんでしょうね。そもそも、デパートで「絵画展」なんぞをするのはどうしてでしょうか。もちろん、多くの人に「素晴らしい作品」を見る機会が与えられることはわかりますが、それは単に「見る」機会でしょう(見ないより見たほうがいいのかな~~~)。





と言うわけで、全然日本の美術館には興味がないのですが、ある日突然「美術館に行こう」と決心いたしました。それは「北斎展」です。この北斎展には版画ではなく肉筆風俗が並ぶとうたわれていたからです。オランダ国立民族学博物館とフランス国立図書館が所蔵する物で、いわゆる「里帰り」展示です。それも、「浮世絵」と言われているものの技法で描かれているのではなく、北斎が多分長崎に駐在したオランダ商館長らの注文により描いた物で、日本人の暮らしぶりや肖像を「西洋の技法」を意識し描いたものらしいです。・・・・・ちょっと興味わいてきませんか???



陰影法や遠近法といった西洋絵画の技法を北斎が独自に解釈し取り入れているので、美術館の学芸員によれば、とても異様な作品群との事。「俺もこのくらいのことは知っているんだぞ」との、意識しすぎのやりすぎ作品だそうです。・・・・・ちょっと興味わいてきませんか???





行ってみて、すぐ後悔いたしました。窓口で「混雑していますがいいですか。ご了承の上お入り下さい。」と言われたからです。でも、一応入ってみました。みんな一列に並んで順番にチンタラ、チンタラ見ています。頭の中で絶叫です。そうだ、学校で習ったな~~~、展示物には触ってはいけません、お行儀よく一列に並んで観賞しましょう、おしゃべりしてはいけません。あ~~~あ、家でパンフレットでも眺めていればよかった~~~。



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