2013年8月13日火曜日

生命の誕生

��月25日NASAと提携しているドイツの科学者チームが土星の輪の最外周辺部に食塩の成分となるナトリウム塩を発見したと英科学雑誌ネイチャーに発表した。土星探査機カッシーニは2005年に土星の衛星の一つエンケラドスから水蒸気と氷が噴出しているのを発見し、今回、それらの噴出物の一部が土星の輪の最外周辺部をつくっており、エンケラドスに存在すると考えられている地底湖が塩分を含む海である可能性があるという事を報告している。同じネイチャーにはエンケラドスからの噴出物にはナトリウムは含まれていないとする論文を他の研究者グループが発表してはいるが、このドイツの研究グループは「この海は生命誕生の可能性を秘めた環境であるかもしれない」とし、さらに今後継続されるカッシーニの探索にこのエンケラドスに人が住めるかの希望を託している。



この彼らの探査結果に刺激を受け最近読んだ本「生命40億年全史」を思い出した。この本は題の如く生命が初めて地球に誕生してから人類に至るまでの壮大な生命の歴史物語である。わたしは基本的には、いつの時代にどんな生物が生存していたかとかどのように絶滅したかという歴史についての興味はない。興味があるのは、無機物しか存在していなかった地球から如何にしてはじめての生命が生まれることができたのか、そしてそれがどうして動き出すことができたのか(動物の誕生)などである。



一番信憑性のある説は「原始スープ」である。これはダーウィンの説を継承している。1950年代初期、はじめて原始スープが調合された。稲妻のかわりに放電によるスパークをおこすことによりその中にアミノ酸生成物を得たのである。S・L・ミラーとH・C・ユーリーが行なった実験で、その後同様な実験はミラー・ユーリー反応と呼ばれている。まだ人類は生命を生み出しえる完全なる「原始スープ」の成分を発見はしていないが、炭素と水と窒素をしかるべき順序で結合させ有機化合物を産み出すことには成功した。



「ビッグバン宇宙論」によると宇宙の全物質はただ一度だけのビッグバンによって創出された。そして地球が地軸を中心に自転していること、太陽との距離が適度なこと、地球の創世記に宇宙からの隕石や彗星により元素が地球に送り込まれたこと、これらのもろもろの条件が揃い地球上に生命が誕生する可能性が生まれた。そして最後に「奇蹟」のスパークである。それまでに幾度ものスパークがあっただろうし、この「奇蹟のスパーク」の後にも幾度となくスパークは起こったであろう。しかし、生命を産み出し得る「真のスパーク」はただ一度だけだったのだ。この一度で今地球上にある総ての生命の祖先が誕生したのだ。これはこの地球上の生命は総て同じ系統を示しているということからわかっている。わたしたちを悩ませる菌もウィルスも花も鳥も昆虫も、すべてこの一回のスパークによっていることになる。素晴らしい奇蹟。(この奇蹟が起らなければ我々はこの奇蹟があることも知らないのだからどうと言う事もないのだが)。

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